最終回 | すくらんぶるアートヴィレッジ

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・・・ブログ「世界遺産へ」が100号を迎えました。

 

《NEWS》2020.3.18熊本日日新聞より

古墳の樹木、無断で伐採/熊本市が被害届

熊本市は18日、西区小島の国指定史跡「千金甲[せごんこう]古墳」の二つの円墳周辺で、樹木が無断で伐採されていたと発表した。市は17日、熊本南署に被害届を出した。同署が器物損壊の疑いで調べる。市によると2月25日に近くの住民から、「(樹皮の一部を剥いで立ち枯れさせる)巻き枯らし処理された木がある」と連絡があった。翌日、職員が現地に出向き、クヌギなど60本以上が巻き枯らしや伐採されていることを確認した。市の1月20日時点の調査では異常はなかった。石室などへの損傷はない。被害があったのは、20基以上が点在する古墳群のうち、国指定の装飾古墳甲、乙号の2基。甲号は5世紀ごろの築造と推定され、内部が★赤、黄、青で彩られている。6世紀の築造とされる乙号は風雨のため劣化しており、木造の建屋で石室などを保護している。文化財保護法は、国指定史跡の樹木の伐採には文化庁の許可が必要と定めている。市文化振興課によると、伐採で古墳に直射日光が当たれば、石室内の温度や湿度が変化して装飾が劣化する恐れがある。「誰かが古墳の見通しをよくするため伐採した可能性もあるが、勝手に手を加えないでほしい」と呼び掛けている。

 

 

【報道資料】国史跡「千金甲古墳(甲・乙号)」の無許可樹木伐採等について/2020.3.19

https://www.city.kumamoto.jp/hpKiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=27480&class_set_id=3&class_id=535

国指定史跡「千金甲古墳」上の樹木が何者かに無断で伐採されており(令和2年(2020年)2月26日確認)、被害届の提出を行いました。

 

 

《千金甲古墳》

861-5284熊本市西区小島下町勝負谷2992(甲号)小島町下町字高城山(乙号・丙号)

熊本市の西部、権現山(ごんげんさん)の中腹にある★装飾古墳群。国の史跡に指定されている2基は、勝負谷の1号墳(甲号)と高城山の3号墳(乙号)です。1号墳の石室内には凝灰岩の板石6枚を使って石障(せきしょう)がめぐらされており、その内側に靫(ゆき)、同心円文、対角線文などが刻まれ、★赤・青(緑)・黄で彩色されています。早くから石室の天井部近くが開口していたため、副葬品は残っていませんが、5世紀の築造と推定されています。3号墳は6世紀の築造で石室内の石屋形に靫、舟、弓、刀、同心円文などが刻まれています。色は★赤色と緑色が確認されています。

 

 

《参考》「熊本県立装飾古墳館」

861-0561熊本県山鹿市鹿央町岩原3085/0968-36-2151

http://www.kofunkan.pref.kumamoto.jp/index.php

「装飾古墳」の専門館です。国が提唱した「風土記の丘構想」に基づき、装飾古墳の保護・活用、そして研究のための施設として設置されました。当館は、建築家★安藤忠雄氏の作品です。前方後円墳の形を模しており、敷地内の岩原古墳にある熊本県最大級の前方後円墳「岩原双子塚古墳」と点対称で向いあうように建てられています。館内には普段見ることのできない装飾古墳の内部を忠実に再現し展示しています。このほか、先土器時代(旧石器時代)から中世までの出土遺物も展示しています。屋外には「はにわ公園」、古墳の間をウォーキングして楽しめる園路、台地の壁面には岩原横穴墓群があります。また、勾玉づくりをはじめとする古代体験や、学芸員が出向いて行う移動体験など、講座やイベントが楽しめる体験参加型の博物館でもあります。

★くまもとアートポリスは、熊本県が1988年から進めている建築文化事業です。質の高い建造物の建設を通じて、熊本県全体にわたるまちなみや環境を中心とした、地域の整備・活性化を目指しています。熊本県立装飾古墳館も、その事業の一環として建築されました。このような事業を継続することで、やがては後世に伝えうる文化を熊本の地に創造しようという目標を持っています。

https://www.pref.kumamoto.jp/kiji_1662.html

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、実習棟・体験学習棟を含め、3月15日まで全館臨時休館とお知らせしておりましたが、3月31日まで休館期間を延長せざるをえなくなりました。「定期体験」「勾玉の日」の実施も中止となります。何卒、ご理解の程よろしくお願いします。【休館の期間】令和2年(2020年)3月31日(火)まで※状況に応じて、延長する可能性がございます。

 

 

《参考》2018.2.14朝日新聞より

大阪★タヌキがすむ「いたすけ古墳」で樹木伐採スタート

2019年の世界文化遺産登録を目指す百舌鳥古墳群の前方後円墳「いたすけ古墳」(堺市)で13日、大きくなりすぎて墳丘を傷つける可能性のある樹木の伐採が始まった。登録のためには古墳の適切な管理が必要で、堺市が約150万円かけて後円部の竹など約50本を伐採。濠(ほり)にはえた葦(あし)も取り除く。いたすけ古墳は市が管理し、立ち入りを禁じている。この日は作業員がゴムボートで濠を渡り、墳丘の裾から濠に向かって繁茂し、墳丘が崩れる原因になる★竹などをチェーンソーで1本ずつ伐採した。ふんなどで鳥が運んだものが育ったとみられ、竹は20メートル近くあるものも。市は墳丘の保護のため18年度以降も伐採を続ける予定だ。一方、古墳には20年以上前からタヌキの家族がすみ、古墳にかかる朽ちた橋に出没。タヌキ目当ての観光客の姿も。古墳の前に住む男性(78)は「樹木の管理は必要だがタヌキがすむ周りの木は残して」。近くの主婦も「古墳とタヌキが共存できるよう工夫してほしい」と話している。

 

 

《参考》「タヌキと日本人」(視点・論点)/NHK解説委員室2016.11.25

麻布大学いのちの博物館上席学芸員・高槻成紀

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/257729.html

最近、天皇陛下が皇居のタヌキの糞を分析して食べ物についての論文をお書きになったことが話題になりました。実は私もタヌキの糞を集めては分析をしているので、驚き、またうれしく思いました。タヌキは私たちに最も身近な野生動物です。今日はそのタヌキと日本人とのかかわりについて紹介したいと思います。タヌキは柴犬など中型犬くらいの大きさでイヌ科に属します。全体は茶色ですが、目の周りが黒く、肩や足も黒くなっています。キツネも同じイヌ科ですが、タヌキは秋にはよく太って、キツネよりはかなり太めの印象です。

タヌキは漢字でケモノへんに里と書きますが、それは納得のできることです。というのは、タヌキこそ、★里山を代表する哺乳類だからです。里山というのは、日本の農村の景観で、農業のために人が長い時間をかけて作りかえた★半自然があります。里山には畑やカヤバという草原、田畑などさまざまな環境があります。そして人の営みがありますから、クマやカモシカのような奥山の動物は暮らせません。クマやカモシカは体が大きく、行動圏が広く、警戒心が非常に強いので里山は適していないのです。本来サルもそういう動物でした。これら奥山動物は繁殖力が低く、警戒心が強いので、駆除などされる里山ではその意味でも暮らしにくいのです。これに対してタヌキは体があまり大きくなく、★警戒心もさほどなく、繁殖力も高いので、里山にすむのに適しています。とくに雑食であり、ほかの動物にくらべても★融通がきくので、春はサクラやキイチゴの果実、夏は昆虫、秋から冬はさまざまな果実、冬は哺乳類など、季節ごとに旬の食物を食べます。野生の植物だけでなく栽培されたカキの実やギンナンなども食べますし、残飯などほかの野生動物が利用しないような食物も開拓するたくましさも備えています。こうした融通性によってタヌキは里山に生き延びてきました。キツネやアナグマなども里山に生き延びてきましたが、里山が都市にかわると、キツネやアナグマはいきてゆけなくなり、郊外に逃げるように分布がせまくなりました。またノウサギはカヤバがなくなったためにいなくなりました。そのなかでタヌキだけは融通性を発揮して都市にさえ生き延びています。おどろいたことに東京の都心でも暮らしています。

そのようにタヌキは野生動物なのに人とよりそって生きて来た動物です。それだけにタヌキについての民話やイメージもいろいろとあります。おおかたのイメージはタヌキは小太りで、人を化かすが間抜けなところがあって、ばかしきれないお人好しといったところでしょうか。

日本人ならだれでも子供の頃に「カチカチ山」や「ぶんぶく茶釜」を聞いたはずです。この2つの話に共通しているのは、タヌキが化けるということです。現代の日本人にとってのタヌキはおっとりとした少年のようなイメージで、化かすとか悪事を働くということはありません。ただしタヌキおやじというとずる賢いというイメージがあります。

今よりはるかに動植物と密着していた昔の人にとってタヌキはごく身近な存在でした。迷惑なため困りものと思われたこともありましたが、しかし徹底的に嫌われるということはありませんでした。それだけに、★「どこにでもいるありふれた動物」とされ、とくに注目されることもありません。ではタヌキのことはよくわかっているかといえば、そうでもありません。たとえばタヌキは★父親も子育てをするイクメンであることなどはわりあい最近知られたことです。タヌキの食べ物はかなりわかってきましたが、里山だけでなく、かなり高い山や海岸にもすんでおり、それぞれで大きな違いがありますが、調べられていない場所がたくさんあります。私は貴重な動植物を手厚く守ることはもちろん大切だと思いますが、タヌキのような身近な動物にももっと注目すべきだと思います。20年ほど前にメダカが絶滅危惧種になりましたし、最近も季節を知らせる昆虫などがいつのまにかいなくなって記録が取れなくなったと報じられました。私は身近な動物の生き方を知ることで、★「がんばって生きているな」という敬意のような気持ちをもつことがとても大切だと思います。日本のような工業が発達し、都市化が進んだ国に、人とよりそってきた野生動物がいて、それを日本人がよく知り、愛しているということを知ったら、世界は驚くに違いありません。これまで私達とおりあいをつけながらよりそうように生きてきたタヌキが、★気づいたらいつの間にかいなくなっていた、というようなことのないよう、温かい目を注ぎたいものです。

 

・・・とにかく、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、生活や仕事の在り方が変化していくことにあわせて、ゆっくり気長にあわてず守るものやことを考えて、世界遺産も大切にしていきましょう。完