・・・懐かしい名前にも出会いました、現代美術コレクター「田中恒子」さんのコレクションから「折鶴焼」が出品されていました。田中さん(現役の頃のお知り合いなんです)とはいつか再会するだろうと楽しみにしているのですが、まだ実現していません。
★「POST WAR」シリーズ「POST WAR 74 折鶴焼」
「折鶴焼」。長崎原爆資料館に寄せられる数多くの千羽鶴は1年間展示された後古紙として回収されてリサイクルされるが、再生紙に利用されるもの以外は廃棄される。太田さんが★長崎県立波佐見高校の生徒を対象にしたワークショップで、捨てられる千羽鶴を利用した作品制作を提案したところ、折鶴を燃やした灰を釉薬にした陶芸作品をつくろうということになった。そして灰を釉薬に使ったA5サイズの陶板づくりに取り組んだ。切手シート状に構成した作品には生徒の氏名や学年、制作意図を記してある。その陶板を撮影し今回の切手シート作品を制作した。「POST WAR シリーズ」の12作目になる。
《NEWS》2018.8.8西日本新聞より
https://sotogawa.com/event/20181115
千羽鶴で波佐見焼制作。高校生ら平和の願い込め、焼却灰を粘土に混ぜ箸置きや豆皿
波佐見町の波佐見高の生徒が7日、長崎市の原爆資料館などに寄贈された千羽鶴を譲り受け、焼却した後の灰を使って「平和を願う波佐見焼」を制作した。千羽鶴に寄せられた平和への思いを特産の陶器に込めようと、町づくりに関わる団体との協力で、初めて作品を完成させた。長崎市によると、原爆資料館には昨年度、全国の学校や企業などから1442束、重さ約900キロの千羽鶴が寄せられた。入り口の通路に1年間飾った後は、解体して和紙や古紙に再利用している。千羽鶴を陶器作りに活用しようと発案したのは、波佐見町で芸術を生かした町づくりをしている社団法人「金富良舎(コンプラシャ)」の松尾栄太郎理事長(41)と里山賢太理事(41)。普段から交流している波佐見高に連携を呼び掛けた。陶芸などを学ぶ美術・工芸科の1、2年生20人が、原爆資料館と国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館から提供を受けた20キロ分の千羽鶴を今月1日に焼却。灰を粘土に混ぜ、ツルをモチーフにした箸置きや豆皿、お香立てに成形した。町内にある県窯業技術センターの窯で焼き上がった約40点の作品は、淡い青磁色に仕上がった。折り鶴の材料が一様でないので、どんな色になるかは予想できなかったという。2年の藤田沙和さん(17)は「折り鶴からそれぞれ違いのあるおもしろい作品ができた。平和への思いと波佐見焼がつながれば」と出来栄えに満足そうだった。松尾理事長と里山理事は「千羽鶴を有効活用することによって、長崎や広島に届ける意味が深まるとうれしい」と話す。将来の商品化を検討している。
https://www.news.ed.jp/hasami-h/index.html
http://www2.news.ed.jp/section/hasami-h/index.html
・・・「波佐見焼」つながりで、もうお一人紹介しておきましょう。
《NEWS》2019.8.16朝日新聞デジタルより
鎮魂の折り鶴、焼却灰を「お香」に。平和の願い込め再生
長崎原爆資料館(長崎市)に保管されている千羽鶴がこの夏、お香となった。陶磁器のまち、長崎県波佐見町の焼き窯で灰にして、香料と練り合わせて再生された。鎮魂や平和への願いが込められている。お香をつくったのは、波佐見町の一般社団法人「金富良舎(こんぷらしゃ)」。代表を務める京都府在住の現代美術家★松尾栄太郎さん(42)が発案した。波佐見町出身の松尾さんは芸術家として灰を大切にしてきた。灰は工芸品の染料や釉薬、肥料、洗剤に使われる。自身も紙を燃やした際の焦げ目を生かしたアートを得意とし、灰を絵の具に混ぜることもある。原爆資料館にたくさん寄せられる折り鶴をどう保管するか、課題になっている――。そんな話を昨年、知人から聞いた。「灰は再生や生まれ変わりの象徴。千羽鶴に込められた思いを、新しい形に表現することでたすきのようにつないでいけないか」地域おこしに仲間と立ち上げていた金富良舎のメンバーに相談し、「お香」の商品化が決まった。鎮魂の願いも込めた。原爆資料館に話を持ちかけた。資料館によると、年間約700キロの折り鶴が寄せられ、一定期間展示して地下2階の倉庫に保管した後、再生紙にリサイクルなどしてきた。「長崎へ届いた鶴を地元で再生させることなので、お願いした」と担当者は話す。千羽鶴を譲り受けた金富良舎は、特注の焼き窯で灰にした。灰や香料の配合が難しく、試作を重ねて今夏、せっけんのような香りの「折鶴香」を完成させた。約3千セットをつくり、1セット税込み1350円で通信販売を開始。あわせて波佐見焼でお香立てもつくり、その釉薬に千羽鶴の灰を使った。「法事で使いたい。祖母が被爆した」といった声が寄せられ、松尾さんは「長崎から一筋の香りに平和への願いを込めていきたい」と話す。
【松尾栄太郎】(1977~)
1977長崎県生まれ
1998京都造形芸術大学/彫刻科中退
1998~2006井田照一アシスタントを務める
200京都での初個展から本格的な作家活動を始める。
2016~2019長崎県波佐見町のHASAMIコンプラプロジェクトをプロデュース。
2017長崎県波佐見町に一般社団法人「金富良舎」を設立。
2018長崎へ送られる千羽鶴の循環と再生を目的とした活動を開始。
2019★ORIZURUプロジェクトを開始。
https://orizuru-project.stores.jp/
《NEWS》2019.4.25西日本新聞より
折り鶴に命吹き込む異業種グループ「金富良舎」/原爆資料館展示後、譲り受け
文化芸術を生かした地域づくりや商品開発をしている社団法人「金富良舎(こんぷらしゃ)」の活動拠点が、波佐見町宿郷に完成した。90年以上の歴史を持つかつての銀行。中に入ると、鮮烈な「赤」を発する芸術作品が目を引く。素材は折り鶴。独特の手法と感性で平和を表現している。大正末期に建てられた旧親和銀行波佐見支店。金庫だった場所に、その作品はある。140センチ四方のキャンバスを隙間なく覆う赤銅色。千枚以上の折り鶴を貼り付け、焼き物の土と折り鶴の灰を混ぜた顔料を塗った。中心の円は、和や安らぎを意味する。作者は金富良舎代表で、現代美術家★松尾栄太郎さん(43)。タイトルは「折り鶴」。長崎市の長崎原爆資料館などに国内外から届く千羽鶴。松尾さんは展示を終えたものを譲り受け、約1週間をかけて作品にした。「折り鶴に新たな命を吹き込んだ。ささやかだが、平和運動の一環になれば」。資源の循環、再生の意味も込めた。金富良舎は松尾さんをはじめ、30~40代の芸術家、焼き物に関わる事業家らによる異業種グループ。洋館を思わせる活動拠点は町内外のさまざまな人を結ぶ場所であり、食事や酒が楽しめる。地元産品も販売している。金富良舎の名は、江戸時代にしょうゆなどを入れて輸出していた波佐見焼のコンプラ瓶にちなむ。松尾さんは波佐見町出身で祖父は波佐見焼の職人、父は陶磁器の商社を営む。高校からデザインを学び、京都造形芸術大で彫刻を専攻。現代美術家の井田照一さんに師事し、版画技法を生かした和紙を使った作品を得意としている。現在は自宅がある京都市と波佐見町を行き来する。家族や親戚に被爆者はいない。「戦争や平和を語れる立場じゃない」と話しつつ「毎日を楽しく過ごすことができる。芸術活動ができるのも平時であるからこそ」。好きな道を歩める今に感謝する。金富良舎は折り鶴を生かした製品も開発している。焼却した折り鶴の灰を活用した★「折鶴香」。箱は折り鶴をデザインした。お香立ての陶器にも折り鶴の灰が含まれている。「日本に来る外国人にも手に取ってもらい、平和を感じてほしい」と松尾さん。夏以降の販売を計画している。
・・・玉手箱プロジェクト「記憶の玉手箱」ピースアクションでは、山之口商店街★「奥野清明堂」さんからいただいたお香の桐箱を活用させていただきますが、この「折鶴香」はまさにピッタリ、即刻購入しました。