・・・再び「地上」にあるモニュメントを紹介します。
①「Mind-Body Column」/作:アントニー・ゴームリー
http://www.art-inter-tokyo.com/osaka.html
4棟の高層ビルに囲まれた、中央広場に立つモニュメント。地球の核を構成する主要物質「鉄」を無垢のまま使用し、大地から「生えた」人体造形とすることで、大地と人との、自然と人との、ひいては作品名にあるごとく心と体の、連続性が暗示されている。作家アントニー・ゴームリーにとって、初のタワー状大作。構造的に困難を極め、優秀なエンジニアを大いに煩わせた。その結果、溶接を一切使用せずに、「焼き嵌め」によって、全体を組み上げた。阪神大震災後でもあったので、耐震にも万全の注意を払い、免震装置を地下に設けた。装置の安定のため、地下に20トン強のおもりを埋めている。[事業主:レールシティ西開発株式会社]
②「外部空間(ランドスケープ)」作:佐々木葉二
生活空間として都市生活の楽しさ(アメニティ)を「広場」・「滝」・「サンクンガーデン」・「レストラン」などで演出されています。オフィスライフを執務空間の中だけでとらえずに、このビルで働く人々の生活が豊かになるようにしつらえてあります。ビルの隙間に差す光は制限されてしまいますが、いろんな角度の面で構成された壁線は、光のわずかな変化を増幅して水と光が織り成す魅力を余すことなく伝えようとしています。
【佐々木葉二】京都造形芸術大学教授。鳳コンサルタント株式会社 環境デザイン研究所、佐々木デザイン室主宰。
●鳳コンサルタント環境デザイン研究所
550-0003大阪市西区京町堀1-8-35/06-6459-2975
●佐々木デザイン室
583-0026藤井寺市春日丘1-6-31/072-938-7961
③「月琴2000」/作:澄川喜一(1931~)
1931島根県に生まれる。山口県立岩国工業高等学校機械科を卒業。東京藝術大学彫刻科入学。平櫛田中教室にて塑造を学ぶ。東京藝術大学教授、平成7年同学学長を務める。現在日本藝術院会員・文化功労者。東京スカイツリーのデザイン監修を務めるなど、全国に野外彫刻・環境造形を多数手がける。
④「life 2000」/作:片山利弘
地下街に直結したビルの入口壁面に設置した壁画作品。作家の片山は、もともと色づかいも巧みな高名なグラフィックデザイナー。ボストンを拠点に活動するうち、東洋的な筆と墨による力強い表現にも強く惹かれていた。場所の特性を理解し、更に三次元的な展開を加味し、この作品を提案した。御影石による力強いレリーフである。[事業主:株式会社損保ジャパン(旧安田火災海上保険株式会社)]
⑤「DRAGON」/作:ケネス・スネルソン
再開発地区全体の景観を考慮して、「見通しの良い」「圧迫感の無い」ビルのファサードが建築的に探求され、結果大胆な高床式となった。そのせり上げられたビルの足元に、見通しを遮らない、圧迫感のない、軽やかな、しかし存在感のあるモニュメントが求められ、この作家・作品に決定した。パイプとワイヤーからなるこの特殊な構造は、テンセグリティーと呼ばれ、一般にはバックミンスターフラーと結びつけて語られることが多いが、発見者は大学での彼の教え子、この作品の制作者、ケネス・スネルソンである。このことは、バックミンスターフラーも公式に言明している。[事業主:レールシティ西開発株式会社]
【参考】TIS&PARTNERS(東京・京都)
604-8151京都市中京区蛸薬師通烏丸西入る橋弁慶町228AOIビル403/075-253-2156
http://tis-partners.co.jp/index.html
構造デザインはTIS&PARTNERSの主要業務です。創立以来、国外20余りの国と国内47都道府県で2200件を超えるプロジェクトを250人以上の建築家やデザイナーと協働し手掛けてきました。TISは、建築家・デザイナーのイメージを現実化する技術的パートナーとして、プロジェクトの初期段階から完成まで、これまでにないアイデアの実現のために柔軟に対応します。・高度な解析技術・緻密な詳細設計・製作・施工方法の提案また適判・評定・評価対象となるプロジェクトに積極的に取り組んでいます。
http://tis-partners.co.jp/works/works/1566/1566.html
2000年、ケネス・スネルソンのアートDORAGONを日本の地震、台風に耐えるよう実現。動物の「筋肉」と「骨」のように、張力ワイヤーとそれによって空中に浮く被圧縮のステンレスパイプによる構造。
⑥「Helix U-2005」/作:脇田愛二郎
造形感覚はもとより、建築的な空間感覚、スケール感覚に大変優れた作家。この点が特に建築家に高く評価され、作品の設置事例も多い。イサム・ノグチの影響を受けつつも、とりわけ螺旋状の力強い立体作品を探求し、独自の作風を築いた。この作品も脇田の代表的造形である。[事業主:ダイビル株式会社]
⑦「Flower Fairy(花の妖精)」/作:Jean-Paul Aube(1837~1916)
ジャン・ポール・オーブはフランスの彫刻家で、ザ・リッツ・カールトンホテル駐車場入口の緑の木々の中に、この妖精はいます。現代的なオブジェが多い中、ホッとさせられる作品です。
⑧「太陽の肖像」/作:新宮晋(1937~)
新宮晋さんは小磯良平(1903-1988)さんの遠い親戚にあたります。小学生の頃から絵を見てもらっており、画家を志して東京藝術大学に入学、小磯教室で学びました。同校卒業後はイタリアに留学、絵画から立体作品の制作へと進み、帰国後、自然エネルギーで動く彫刻を発表して世界で活躍されています。
⑨「なかよし」/作:河合隆三(1935~)
1935年、大阪に生まれる。1962年に東京芸術大学彫刻科を卒業。'66年には、イタリアのローマ美術学校へ留学し、多くの古代ローマの遺跡や建造物、彫刻などにも触れている。近年まで大阪芸術大学の教授として多くの後進を育成され、その傍ら関西を中心に、公共空間、都市施設などに多くの屋外彫刻作品を制作されています。
⑩「COSMIC ARCH’89」/作:鹿田淳史(1958~2003)
京都市出身。京都市立日吉ヶ丘美術工芸高校、金沢美術工芸大学彫刻科卒業。メキシコ国立自治大学造形学部大学院修了。胃がんのため京都市山科区の病院で死去、44歳。
⑪1970「カルメン」/作:堀口泰造(1916~1999)
東京都駒込に生まれ、幼い頃から画家を志す。20代で従軍し満州へと渡り、敗戦後はシベリアで抑留生活を送る。1949年に復員し、藤沢に住み、米軍基地で看板や似顔絵などを描いて生活する。40歳を過ぎた頃から彫刻に目覚め、彫刻家・菅沼五郎に師事し、二紀展や藤沢市展などに出品する。シベリア鉄道を経由したスペイン・モロッコへの長旅をきっかけに、シルクロード、中東、インドなど各地を巡り、モチーフの幅を広げていく。自らの抑留体験を凝縮した《捕虜》のシリーズは、1975年「第29回二紀展」において文部大臣賞、1980年「第1回高村光太郎大賞展」で優秀賞を受賞。《カルメン》シリーズやテラコッタ作品、蜜蠟から形作られた小品が知られる。
⑫「Green & Green stripes」/作:渡辺信子
⑬「赤いかたち・垂」/作:植松奎二
◆Tiffany & Co.
ニューヨーク本店のファサードにあるアトラス クロック。あのギリシャ神話に登場する、天空を支える巨人、アトラスの彫像と一体となった時計が、ティファニー社のシンボルとして登場したのは1853年。ちょうどティファニーの社屋がブロードウェイ550番地に店舗を移転した年のことだった。五番街に移転した現在も、ファサードにアトラスクロックが掲げられている。