・・・松尾大社のつづきです。
〔蓬莱の庭〕
蓬莱とは、不老不死の仙界の意味で、その島にあこがれる蓬莱思想が鎌倉時代に最も流行し、これが作庭技術にも採用されて来ました。鎌倉将軍「源 頼朝」は、当神社に対し神馬十匹・黄金百両を献じて深い尊信の念を捧げ、以後も武門の崇敬は変わることなく明治の時代まで続きました。本庭は、その鎌倉期に代表される回遊式庭園を取り入れたもので、全体が羽を広げた鶴を形どっており、池泉の周囲を巡り池に浮かぶ島々を眺めて、もしも自ら仙界に遊ぶ境地に到達されたなら、鑑賞者の心と作庭家の心とがその時こそ一致した時だと思われます。
この庭は池の形を重森三玲が指示を出し、長男完途が遺志をついで完成させたものといわれています。最初で最後の親子合作の庭です。
・・・まるで「サギ」が作り物のように庭に居ついているのが奇妙でした。
・・・本当は「西芳寺」に行きたかったのですが、そちらはやはり事前予約をしなければ入れないということで、手前にある「鈴虫寺」へ。
◆妙徳山華厳寺「鈴虫寺」
615-8294京都市西京区松室地家町31/075-381-3830
秋だけでなく、四季を通じて鈴虫の音色を聞くことのできる境内。それゆえ「鈴虫寺」の名で親しまれている当寺ですが、正式な名称は「妙徳山華厳寺」といいます。華厳寺は江戸時代中期の享保8年(1723)、華厳宗の再興のために鳳潭上人によって開かれ、現在は臨済宗に属する禅寺となっています。本尊である大日如来のほかに地蔵菩薩も安置しており、全国から地蔵信仰、入学・開運・良縁祈願の方々をはじめ、多くの方が祈願にお見えになります。美しい自然に恵まれた松尾山麓に佇む当寺は京都市内を一望でき、四季折々の花や樹々、歳月を重ねた石や苔、竹林などが調和する境内では厳かな静寂と歴史ロマンを感じていただけます。また住職の説法を聞き、幸福地蔵菩薩様にお参りすることで自分の心と向き合うきっかけにもなるでしょう。
観光寺院と呼ばれるお寺もふえた昨今ですが、鈴虫寺では寺院本来のあり方を常々大切にして参りました。ご参詣くださる皆さんには、書院へお入りいただき、鈴虫の音色とともに私どものお話を聞いていただく「説法」の時間をもうけております。簡素ではありますが、お茶とお菓子をご用意させていただくのも、禅宗の教えの一つである「茶礼」に基づいた考えなのです。といっても、堅苦しいものではありません。当寺の住職や副住職をはじめ数名の僧が、お寺のことやお参りの仕方、あるいは日々の心の持ち方についてお話しいたします。
・・・まさか、あんなに鈴虫がいるとは思いませんでしたので、本当に驚きました。お庭も十分手入れされており、なかなかのお寺でした。門前に興味深いところもありましたが、今回はパスしました、またの機会に。