・・・どうしても行きたいところがあって、宝塚ふたたび。
◆清荒神清澄寺
665-0837兵庫県宝塚市米谷字清シ1番地/0797-86-6641
平安時代の初め、宇多天皇の創意による理想の鎮護国家、すなわち諸国との善隣友好を深め戦争のない平和社会、万民豊楽の世界を開く勅願寺の一つとして創建されました。天皇は讃岐国の名工、定円法眼に命じて曼陀華の香木で本尊大日如来像を刻ませ、寛平8年(896)に、叡山の高僧静観僧正を迎え、開山の祖としました。当時は猪名の平野や武庫の浦が一望に見渡せる旧清と呼ばれる山の尾根に清澄寺を、そして西の谷に鎮守神として三宝荒神社を祀りました。山号である蓬莱山の由来とする現在の長尾山系の七嶺七渓に、七堂七十二坊の荘厳な伽藍を造営し、宇多天皇より日本第一清荒神の称号を与えられ蓬莱山清澄寺としておおよそ300年栄えました。その後、平安時代末期の源平合戦や、天正年間の荒木村重の乱などの戦火により何度も焼失しましたが、荒神社のみはいずれも難を免れ、やがて清澄寺も西の谷である今の地に再建され、江戸時代末期、一代の名僧浄界和上の諸堂再興により現在の山容が形づくられ伽藍が発祥しました。浄界和上の諸堂再興に続き、先々代第37世法主光浄和上に至り寺運ようやく開け、昭和22年「三宝三福」の教理に基づく真言三宝宗を開き、荒神信仰の総本山清荒神清澄寺として新しく法幢をかかげました。また、光浄和上は画聖富岡鉄斎翁との機縁により、当時名物といえば歌劇しかなかった宝塚に、宗教と芸術文化を通じて多くの人々の心に平和と安らぎを与えたいという理念「宗美一体」に基づき、晩年の傑作を中心に鉄斎作品を収集し、これらを国の内外に紹介して、その人類愛と平和精神を世界に呼びかけました。先代第38世法主光聰和上は当山にお詣りされる篤信深き皆様方にお立ち寄りいただくために「清邦文化会館」を昭和46年に建設いたしました。当山主催のもろもろの催し事の他、ひろく一般の方々による芸術文化・社会福祉等の集会に講堂や会議室を無料で開放しています。
また、昭和50年には鉄斎作品を永く後世に伝えるため、「鉄斎美術館」を建設して一般に公開し、その入館料は、宝塚市立中央図書館内に「聖光文庫」を設け、美術図書購入基金として宝塚市に全額寄付しています。当代第39世法主 光謙和上は先々代、先代両和上の理想と遺志を継承し、平成11年に鉄斎美術館に併設する「新収蔵庫」を、平成20年に長年の構想を経て「史料館」を建設いたしました。「史料館」は清澄寺の歴史や行事をご紹介すると共に什物や所蔵品の企画展示も行い、歴史や文化に親しんでいただき、荒神信仰の布教の場として活用するものです。当山は火の神、カマド(台所)の神としてあがめられ、また各種の現世利益を祈願されるご参詣の方で賑わい、創建以来、連綿と続く栄光千年の法燈は、一日も絶えることなく今日を迎え、「三宝三福」・「宗美一体」の精神を体し、開山草創の原点に立って日々努力を続けています。
・・・年老いた母親には、鉄斎美術館を見せてやりたい。
◆【史料館】◆
清荒神清澄寺史料館は、当山第37世光浄和上,第38世光聰和上の理想と遺志を継承し、現第39世法主光謙和上の長年の構想を経て、平成20年11月に開館いたしました。寄棟造り平屋建の史料館は、当山開創以来千百有余年という歴史的変遷を経て、現代の山容が次第に形づくられる、その発祥とも言うべき伽藍跡に位置し、自然の緑と池苑の水面に映える静寂な環境に包まれています。この由緒ある聖地で、当山の歴史、信仰、行事の説明と共に幾多の什物や所蔵品を順次展示し、三宝三福の教理に基づく宗美一体の理念をご紹介して、広く荒神信仰の布教の場として活用するものです。施設面におきましては、大屋根の瓦葺やガラスルーバーの選定等、建物の規模や構造などに留意を重ね、什物等の展示、作品保全に関する空調や照明にも最善を尽くし、合わせて入口の水盤や前庭の芝生など、いささかなりとも心身共に寛いでいただける環境作りを心がけました。今後とも、開山草創の意を体し、立宗の本願である宗教と芸術を通じてご信者皆様方のお心に平和と安らぎを享受していただけるよう日々努力を続けてまいりたいと思います。
◆【聖光殿「鉄斎美術館」】◆0797-84-9600
清荒神清澄寺第37世法主光浄和上の理想とその意志を継承して、半世紀以上にわたって蒐集されてきた画聖、富岡鉄斎の作品を広く公開展示するために第38世法主光聰和上が昭和50年(1975)4月、清荒神清澄寺の境内に開館しました。正面玄関の扁額「聖光殿」と門標「鉄斎美術館」の文字は、書家森田子龍の揮毫によるもので、左右の前庭には鉄斎翁ゆかりの地、貴船、鞍馬、天竜、伊予の各名石を配し、また、岐阜県根尾村から分植された薄墨桜が色どりを添えるなど、美術鑑賞の殿堂にふさわしい雰囲気をかもし出しています。
清荒神清澄寺所蔵の鉄斎作品は絵画、書をはじめ、鉄斎が絵付を施した器物、或いは手造りの陶器など器玩と呼ばれるものや、先人の構図、筆法などを学びとるために鉄斎が摸写した粉本など多岐にわたり、晩年の傑作を中心に1200余点を数えます。年4回、5回の企画展を開催しています。尚、入館料の全額は、美術図書購入基金として宝塚市に寄付し、宝塚市立中央図書館内に「聖光文庫」を設けて、豊富な美術関係図書を収集し、当館の鉄斎作品の展示と併せ、地域文化の向上発展の一助となることを念願しています。
・・・そして、私が行きたいところに向かいます。