■「民間の感覚」で迅速対応、気仙沼大島/3カ月半“専制”に反感噴出、島の団結力グラリ
・・・ニュースでは上記のような見出しにされているが、どうして、こういう表現しかできないのだろうか?
・・・私なら「専制」ではなく「先制」、「反感噴出」ではなく「多様な思い」、そして「団結力グラリ」ではなく「団結これからが正念場」というような表現にしたい。
■東日本大震災の津波被害で、孤立集落となった宮城県気仙沼市沖の大島。住民らが自主的に災害対策本部を組織し、リーダーを中心に生活再建を図ってきた。行政主導による復旧が思うように進まない地域が多いなか、「民間の感覚」を生かした迅速対応に成功してきた。
・・・ここまでは、素晴らしいことであり、多くの者が共感をしたはず。
■だが震災から3カ月半・・島内には強いリーダーシップへの反発が噴出した。島の誇る団結が揺らいでいる。大島は津波でフェリーが打ち上げられるなどライフラインが寸断され孤立状態に置かれた。住民らは市役所出張所内の公民館に「災害対策本部」を組織。大島地区振興協議会会長で、食堂経営をしていた白幡雄児さん(63)を本部長に担いで危機管理にあたってきた。白幡本部長は、各地から届く支援物資の配布、ボランティア団体の手配や受け入れ、がれき撤去の手順などを迅速に決定。多くの避難所で、行政の指示を待ったために対応が後手に回ったことへの批判が出たのとは対照的だった。
・・・主体的な取り組みの背景には、優れた指導者・リーダーの存在がある。
■「誤解を恐れず言えば、“専制的”な手法を取ったことだ」。孤立被災地の支援を続け、大島でも活動するNPO法人「日本ユニバーサルデザイン研究機構」で震災対策チームリーダーを務める上野清彦さん(37)は成功の理由をそう分析する。「会議以外では対策本部から出ていってほしい」。3月下旬、島内13地区の自治会長や関係者らが集まった会議の直前、白幡本部長が発した一言は、強いリーダーシップぶりを象徴するものだった。白幡本部長は「さまざまな情報を一元化する必要があった。会議室はサロンではない」と説明する。
・・・「誤解」を恐れず言えば“専制的”な手法を取ったことだ、あえて「誤解」を恐れずと前置きしての表現ではあるが、マスコミの絶好の餌食になる。「専制」という表現はあまりにもマイナス・イメージが強すぎる。「強いリーダーシップ」が必要であっただろうし、「一元化」しなければ不必要な混乱を招いただろうし、まさしく会議室は「サロン」であってはこまるのである。
■リーダーの意向とあって、関係者らが対策本部へ足を運ぶ機会は減った。震災から3カ月以上がたち、この“専制的”な手法への反発が、島に広がるようになってきた。ある男性は、「津波後、山火事の対処では本部を中心にまとまったが、その後は一方的に決定を伝えられるだけになった」と話す。島中央部の高台にある大島開発総合センター。箱詰めされたコメや水、食料品がうずたかく積まれている。災害対策本部によると、孤立に備えて必要分を備蓄しているという。だが、現在の体制に疑問を持つ漁業関係者からは「余った物資が特定の人間に配られていても気付かない」と批判的だ。
・・・関係者らが対策本部へ足を運ぶ機会は減った???「強いリーダーシップ」の裏返しが「行きづらくなった」ということなのだろう。しかし「サロン」ではないことは事実である。ただ、人間は「強い」意志の者ばかりではない。「世間話」などムダとも思える話を交わすだけで「心癒される」ことも多い。しかし、「疑問」を通り越して「批判」となってしまうのはいかがなものだろうか?昔から「リーダー」とは「孤独」なものと言うが、たった一人にすべてを委ねてしまった全体の責任をも考えたい。本当にリーダーは一人だったのだろうか?複数の「ブレーン」が存在していたはずである。「孤独」と「孤立」は違う。決してリーダー(個)を「孤立」させてはならない。それが「全体(集団)」の責任であり義務であると思う。
■島では現在、約180人の被災者が島内の旅館に身を寄せている。旅館への割り振りを担当した市観光課に対しても、対策本部は3軒の旅館を挙げ、「先に避難者を入れ、部屋を埋めてほしい」と要望。「復旧に協力してくれたからだ」と説明したという。これに対し市は、公平性などを理由に、他の旅館を含めて住民を割り振った。白幡本部長は「地域のつながりはこちらが把握しているので進言したが、結局、市の決定でコミュニティーがバラバラになった」と市の対応を非難する。一方で旅館関係者の男性は「被災者の受け入れは、どの旅館にとっても主要な収入源なのに」と対策本部の行動に表情を曇らす。
・・・「本音」と「建前」、「公平性」とは何か?その立場や背景によって「公平」の解釈も異なる。大切にしたいのは、社会的弱者は「優先」されるべきものだということ。「えこひいき」ではない。「公平」の前提としての配慮がなければ、弱者は常に「弱者」のままである。
■島の不協和音は、ボランティアグループにも伝わるまで深刻化している。上野さんは「これまで通りスピードを重視して決定していると復興はうまくいかない。島は岐路に立っている」と心配する。大島に限らず、強いリーダーシップに引っ張られてきた避難所では、似たような不満が噴出しつつあるという。白幡本部長も批判は承知だ。その上で「今後は復興に向けた動きが中心となり、少人数で抱え込むと手が回らなくなる。組織や意思決定のあり方を変える時期かもしれない」と、被災地のリーダーシップの難しさを話している。
・・・「批判は承知だ」というリーダー。私は心から「応援」したい。あなたがリーダーだったから、ここまで来れたのだと思う。しかし、これからが本当の「リーダーシップ」を発揮する時なのでしょう。
■孤立被災者に物資支援を続ける李東勲(イドンフン)・石巻専修大准教授(マーケティング)の話「各地の避難所でリーダーと被災者の間で溝が生まれるケースが出始めており、最悪の場合にはコミュニティーが崩壊する可能性もある。個人がそれぞれ客観的な視点で3カ月を振り返り、話し合いを持ち、今後に向けた意思統一を図らなければならない。復旧段階では強いリーダーシップが重要だが、復興には関係者と協議するマネジメント(調整)能力が必要になる」
・・・これまで、個人的なコメント(見解)は避けてきたのだが、今回ばかりは黙っておれず、つい。今回の大震災を通して、私自身多くを学ばせてもらっているし、ただただ見守ることしかできていないのだが、今回のニュースにふれて、まさしく・・・これからが真の「復興」なのだと強く思う。そして、何ができるのか?何をしなければならないのか?を再度考え、実行に移していきたいと考えている・・・KIZUNA正念場。