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震災が男女心理にもたらす影響とは?


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精神科医でゆうメンタルクリニック(東京新宿・上野・池袋)院長のゆうきゆう先生によると、大きな災害や事故のあと、結婚するカップルが増えることがあるという。心理的な変化として、男性の場合は「女性を守りたい」、女性の場合は「もしものときに一緒にいられる立場でありたい」という気持ちが強くなるようです。銀座ダイヤモンドシライシ新宿本店の橋本奈菜店長は「震災後、彼女にプロポーズするための指輪を買いに一人で来店される男性が増えているように感じます。大切な人の存在に気づいた方もいらっしゃれば、大切な人を守らなきゃという意味で、プロポーズするタイミングとなった方もいらっしゃるように感じます。多くのお客様が大切な人とのつながりを指輪に求めている姿を見て、ブライダルリングは“贅沢品”ではなく“人生の必需品”であると確信しました」ここ数年は婚約指輪ではなく時計を買うなど、指輪離れ傾向があったそうですが、震災をきっかけに、婚約指輪回帰のような現象が起きているようです。



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(1)男女とも本能的に「誰かと一緒にいたくなる」

震災後、女性の結婚願望の高まりがニュースになりましたが、患者の訴えから考えて、男性の気持ちも同様に高まっていると感じます。心理学のさまざまな実験で分かっていますが、女性は「不安や恐怖を感じると本能的に守ってもらいたい」という意識が働き、男性と一緒にいたくなる傾向にあると言われています。震災直後に男性の知人に連絡を取った女性が多かったのは、この心理が作用したのだと考えられます。災害が起きて強い不安を感じると、男女共に「誰かと一緒にいたくなる」という気持ち親和(しんわ)欲求が高まることも、実証されています。また、男性は生命の危険を感じると「子孫を残さなくては」という本能が働きます。興奮させる作用のあるホルモンが分泌され、積極的に彼女をつくろうとする。その結果、震災の後にカップルが増え、結婚を意識するようになったようです。



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(2)目に見える「結婚」や「愛情」の証を求める

指輪は「二人が結婚していることの証」です。震災後、一部で結婚式を自粛する流れもありました。そのため、結婚を控えたカップルには「結婚の証」としての指輪に、結婚式に代わる強い意味合いを持たせる気持ちが湧いたのでしょう。また、一人暮らしの女性は、今回の震災で孤独感を感じることが多かったようです。恋人にもらった指輪をすることで、いざというときに「自分にはパートナーがいる」、「一人じゃない」という気持ちが持てるのかもしれません。指輪は愛情や誓いの象徴。特にペアリングは、その指輪をつけることによって、恋人や結婚相手の存在をいつも近くに感じる効果があるからです。災害が起こると今までの日常が崩壊します。非日常の中では、逆に安定を求めるようになります。家屋が倒壊している光景を見ると、「たとえ災害が起こっても、ずっと残るもの」に価値を見いだすようになるのです。それが、まさに象徴としての結婚指輪なのだと思います。


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(3)この傾向はいつまで続くのか?

ショッキングなニュースが続いていますし、不安感が表面に出ている間は続くと考えられます。また、「震災の経験」というショックは、根強く残ると考えられます。そのため、不安感を癒やせない人の方が、結婚願望が強くなる可能性が高いと言えるでしょう。結婚願望が強い=結婚できるというわけではありませんが、今までキャリアや自分の趣味に没頭していた人たちが結婚に目を向けたというのは、大きな社会変化だと言えます。「不安感が結婚への意識を高めるというのは皮肉なものですが、もちろん結婚の決め手はそういった心理状況からだけではありません」「生涯のパートナーとして選んだ人と、末永く幸せでありますようにお祈りしています」とのエールもいただきました。震災後に指輪が求められるようになった背景には、結婚指輪は自分たちにとって贅沢品ではなく、まさに二人の「愛の証」であり、二人の門出に欠かせないものと感じたカップルの増加があったようです。


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ゆうきゆう 精神科医・精神保健指定医・心理研究家。東京大学医学部卒業後、精神医学教室 入局、東京大学医学部附属病院精神科勤務。2008年ゆうメンタルクリニック開院。



・・・「心理学」って難しそうだけど、なるほどって思いますよね。