■三分一博志
1968年生まれ。東京理科大学理工学部建築学科卒業。小川晋一アトリエを経て、三分一博志建築設計事務所設立。〈エアーハウス〉で第19回吉岡賞、ar+d award(イギリス)、Detail Prize 2005(ドイツ)など、海外での注目度も高い。作品に〈テラス・ハウス〉〈角田歯科医院〉〈Wood Egg〉ほか。〈犬島アートプロジェクト「精錬所」〉も話題に。山口大学非常勤講師、デンマーク王立芸術アカデミー特別講師。
●犬島アートプロジェクト「精錬所」/岡山市東区
犬島に残る銅精錬所の遺構を保存・再生した美術館です。「在るものを活かし、無いものを創る」というコンセプトのもと作られた「精錬所」は既存の煙突やカラミ煉瓦、太陽や地熱などの自然エネルギーを利用した環境に不可を与えない三分一博志の建築と、日本の近代化に警鐘をならした三島由紀夫をモチーフにした柳幸典の作品、また植物の力を利用した高度な水質浄化システムを導入しています。「遺産、建築、アート、環境」による新たな地域創造のモデルとして、循環型社会を意識したプロジェクトといえます。犬島アートプロジェクト「精錬所」が、社団法人日本建築家協会の2010度「日本建築大賞」を受賞いたしました。建築の社会性が審査基準として用いられ、廃墟となり負の遺産となっていた精錬所を蘇らせた犬島アートプロジェクト「精錬所」が日本建築大賞に選ばれました。
1909年に地元資産によって建設された犬島精錬所は、煙害対策や原料輸送の利便性から、瀬戸内海の島々に建設されたものの、銅価格の大暴落によってわずか10年で操業を終えました。現在の犬島には銅の精錬過程で発生する鉱滓からなるカラミ煉瓦造りの工場跡や煙突など、かつての大規模な精錬所を彷彿とさせる多くの遺構が良好な形でのこされており、日本の産業発展の過程に置いて革新的な役割を果たした遺構として、平成19年度経済産業省による「近代化産業遺産群 33」のうちの「story30」に認定されました。
●brood/広島市安佐南区
広島インター近くにある自動車販売店兼レストラン。元々は紳士服店だったようで、従来の建物をそのまま再利用した名残は何となく残っていますが、まるで新築のような建物で、木製のルーバーからなるたくさんのパーゴラがとても面白い。
●WoodEggお好み焼館/広島市西区商工センター7-4-5
広島市西部の工場が建ち並ぶ地域に、広島が誇る地元企業「オタフクソース」が、お好み焼きの文化や歴史を紹介する施設を造った。丸い平面の外周はすべてセランガンバツのルーバー。角度は構造部分の保護や日射量をコントロールするため方位によって変えている。地上29mの建物高さを利用して、重力換気もできる。