どきっ(303) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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国際カエル年


こくさい1


世界中の人がカエルという生きものを知っています。カエルは卵で生まれて変態を経て成体になる特異な脊椎動物です。この優れたプロセスはカエルが水中から陸上に進出する上で重要な役割を果たしました。変態は進化をわずか数週間に凝縮したかのような光景ですが、私たちの想像力を掻きたてます。今日、両生類はさまざまな種類を目にすることができ、水中や地上のいろいろな場所――大海や極寒の地は除いて――に生息しています。知らない人がいないほどの動物であり、多くの文化で神話や伝説、民話に登場しています。


こくさい2


さらに、現在でも新しい種が発見されていて、カエルについて学ぶべきことがいまだに多く存在します。それにもかかわらず、カエルの生息地の破壊が急速に進んでいるため、たくさんの種がその存在を発見される前に絶滅してしまう可能性もあります。治療方法がわかっていないツボカビの感染が急速に広がり、両生類の群集全体を脅かしています。そのため、両生類という一つの大きな分類群そのものが世界的に絶滅する可能性が――私たちがすばやく行動を起こさない限り――現実に存在します。科学者の世界においては、飼育下繁殖がこの危機を遅らせる上で最も重要かつ適切な方法の1つであることが示されています。生息域外の好ましい条件のもとで、絶滅に瀕した種を飼育すれば、再び生息地に個体群を戻すことが可能なほど繁殖させることができます。


こくさい3


そこで、IUCN/SSCの両生類専門家グループと野生生物保全繁殖専門家グループ、世界動物園水族館協会は、世界中のこのような生息域外プロジェクトを支援するため、「両生類の箱舟(Amphibian Ark)」を立ち上げました。世界中の動物園・水族館がこの取り組みに熱心に取り組んでいて、その施設内で適切な設備や繁殖場所を提供しています。しかし、この事業の実施には世界中からの資金的・政治的支援が必要です。そこで、皆様に対して「2008カエル年(2008 Year of the Frog)」世界キャンペーンへの参加を呼びかけることにしました。この事業の最大の目標は、両生類の絶滅の危機に対する世間の認識や理解を促すことです。


こくさい4


この世界的なキャンペーンから得られた資金は、「両生類の箱舟」の調整支援活動や、さしせまった絶滅からの救出活動、専門家を育成するためのワークショップ、協力管理センターなどの地域活動に用いられます。また、2008年以降も継続する基金を設立することで、生き残っている個体群の持続的な飼育を保障します。飼育下管理を支援する持続的な保全活動を早急に実施しなければ、私たちが生きている間にも、カエルというすばらしい生物の何百という種が絶滅する可能性があります。デビッド・アッテンボロー卿(両生類の箱舟「2008カエル年」支援者)