トキ(朱鷺、鴇、学名:Nipponia nippon )はコウノトリ目トキ科の鳥の一種。
トキは漢字で「朱鷺」と書きます。朱(赤色)の鷺(サギ)という意味ですが、サギとは別の種類の鳥です。学名は、ニッポニアニッポン(NipponiaNippon)と付けられました。江戸時代の終わりごろに日本に来たドイツ人医師の学者シーボルトが、トキやニホンオオカミなどの標本をオランダのライデン博物館に送りました。そして、日本のシンボルのような鳥だとして命名されました。ちなみに英語では、ジャパニーズ・クレステッド・アイビス(Japanese Crested ibis)といいます。これは、日本の冠羽のあるトキという意味です。
朱色の皮膚が露出している顔、トキ亜科特有の下方に湾曲したクチバシ(黒色。ただし先端は赤い)、後頭部にあるやや長めの冠羽が特徴である。全身は白っぽいが、翼の下面が朱鷺色(濃いピンク)をしている。また、春から夏にかけての繁殖期には首すじから黒い分泌物が出て、これを体に塗り付けるため頭から背のあたりが灰黒色になる。体長は約76cm、翼開長は約130cm。脚も頭と同様に朱色で、虹彩は橙色。幼鳥は全身灰色で、頭部が黄色である。かつて日本では北海道南部から九州北部まで広く分布し、海外でもロシア極東(アムール川・ウスリー川流域)、朝鮮半島、台湾、中国(北は吉林省、南は海南島、西は甘粛省まで)と東アジアの広い範囲にわたって生息しており、18世紀・19世紀前半まではごくありふれた、むしろ個体数の多い鳥であった。しかし、いずれの国でも乱獲や開発によって19世紀から20世紀にかけて激減し、朝鮮半島では1978年の板門店、ロシアでは1981年のウスリー川を最後に観察されておらず、日本でも2003年に最後の日本産トキ「キン」が死亡したことにより、トキが生き残っているのは中国のみとなった。
現在中国に生息している、またかつて日本に生息していたトキは留鳥(ただし、日本海側や北日本から、冬は太平洋側へと移動する漂鳥もいた)であるが、ロシアや中国北部、朝鮮半島など寒冷地に生息していたトキは渡りを行っていたとされる。クチバシを湿地、田圃などの泥中にさしこみ、ドジョウ、サワガニ、カエル、昆虫などを捕食する。鳴き声は「ターア」「グァー」「カッカッ」など。サギは首を曲げて飛ぶが、トキの場合は首を伸ばしたまま飛ぶ。通常は数羽から十数羽程度の群を作って行動するが、繁殖期には番(つがい)か単独で行動する。マツやコナラなどの木に、直径60cmほどの巣を作り、4月上旬頃に3~4個の淡青緑色の卵を産む。抱卵は雌雄交替で期間は約1ヶ月。繁殖期のトキは非常に神経質で、巣に人間や天敵が近付くとすぐに営巣を放棄してしまうが、一方で幼鳥の頃に親鳥とはぐれるなどした個体はよく人に慣れ、『キン』などは素手で捕獲されたほどである。前述の通り、トキは繁殖期の前に頸側部からの分泌物を水浴びの後などに体に擦りつけ、自ら「繁殖羽」の黒色に染める。トキの頸部の皮膚は黒色で、この物質はそこから剥離するようである。トキ特有のこの羽色の変化は極めて異例であり、原理が解明されるのは20世紀も後半に入ってからのことであった(ロシアの研究者が1891年に既に発表していたことが後に判明)。
THE BOOM のニューシングル「僕にできるすべて/朱鷺-トキ-」(2002年12月4日リリース)が、発売直後から大きな反響を呼んでいる。「朱鷺-トキ-」は、THE BOOMの、佐渡でのコンサートをきっかけにして誕生した。
朱鷺-トキ- /作詞:宮沢和史/作曲:宮沢和史/ペリカン便CMソング
雪を割り咲く花が 薄紅に島を染めれば
長すぎた時を忘れて 山は息を吹き返す
この島で夢を見て この島で夢からさめる
まちに出る船の汽笛が 風にかき消されてく
梅雨を彩る紫陽花 夕映えの凪に浮かぶ舟
強い海風 耐える岩ユリ 二人はここで大人になった
この島でめぐり会い この島で君に手を振る
朱鷺が舞う空を見上げて 君と生きてゆけたら