魚自動車(2)
「くだらない」と思える「遊び心」から、とんでもない発見・発明が生まれます。
■魚用の自動車です。この機械は、水槽の中の魚がどちらに泳いだかを探知し、その方向に車を動かすそうです。
■名古屋工業大学大学院教授・藤本英雄氏
今や世界を代表するグローバル企業となったトヨタ自動車は、産学連携の一環として、世界に一研究室だけ、寄付附講座を持つ。かつては東京大学の研究室だったこともあり、アメリカの大学だったこともある。現在、この寄付講座が置かれているのが、名古屋工業大学、藤本氏の研究室だ。専門はロボット工学。なかでも、触覚技術研究では世界的な権威として知られる。日本の自動車製造では、ボディのミクロン単位の凸凹を触るだけで感知するカリスマ職人が存在するが、その微妙な感知のメカニズムを解明、世界を驚かせた。ほかにもモノづくりとバーチャルリアリティを融合させたバーチャル・ファクトリーなど、次世代の“ネオロボティクス”で数多くの実績を挙げ、内外から高い評価を得てきた人物だ。だが、彼を一躍、有名にしたのは、実は名古屋を流れる堀川を浄化する魚型ロボットの開発、さらにはエコロボットコンテストの開催だった。
魚型ロボットという、変わったものを作ったのは、より強く興味をもってもらうためでした。そのほうが、みんな関心をもつでしょう。実際、魚型ロボットは、もっともっと小さなものにできるのに、あえて大きなものにしました。しかも必要もないのに、外側をスケルトンにしたりした。これは宣伝の意味もあったんです。技術を誇示するかのように小さな魚型ロボットを作っても、実際に川で浄化しているシーンが見られなかったら面白くないでしょう。市民団体との連携から、2003年にプロジェクトが発足したのが、「都市河川対応型エコロボット・プロジェクト」。都市を流れる河川環境をクリーンにする多機能型エコロボットの開発がその目的だった。その一号機として生まれたのが、魚型水質浄化ロボット「ホリちゃん」と、クラゲ型水質測定ロボット「クラちゃん」。その名称も、スケルトンといういでたちも、それぞれ1.6m、80㎝という巨大さも、多くの人に関心をもってもらうための、いわば宣伝機能だったのだという。浄化水タンクに貯水後、おしりからきれいになった水を噴く「ホリちゃん」や、深度を変えて測定ができる「クラちゃん」の活動の様子は、子どもはもちろん大人からも大人気だったそうだ。
生きたままの魚を運搬する「活魚車」です。
大きいものから小さいものまで、いろいろな車が活躍しています。
漁港には、いろいろな魚運搬車が・・・
農村で使う車は「農民車」、漁港で使うのは「魚民車」と言うらしい。