花魚風月(15)
■スミレ(菫)学名:Viola mandshurica
スミレは、スミレ科スミレ属の花で筒型をしていて花びらは外側に反り返っています。スミレの花の由来は大工さんが持っている「墨入れ」に形が似ていることから「スミレ」と呼ばれるようになったという説があります。スミレは芭蕉などの文学にも出てくる、身近な花です。スミレの花言葉は「純潔」「愛」「誠実」になります。スミレは日本を原産地の山野草の中に一つです。温かくなると可憐な花を咲かせて春の訪れを知らせてくれます。花の丈も花も小さく10cmにもみたなく、鉢植えで群生させるとなかなかかわいい鉢植えになります。野生のスミレのほかに園芸品種では「パンジー」「ビオラ」などがスミレ属の園芸種にあたります。
■江戸中期の本草書「大和本草」(貝原益軒、1708)は、スミレを相撲取草として次のように記しています。
古歌に、すみれとよみし物是なり。花紫なり。又白花あり。京都にて、すまうとりと云。筑紫にて、とのの馬と云。小児、其花にかぎある所を両花相交え、かけて引て戯とす。相撲の形に似たり。
スミレの花の基部は筒状になっており、ここに蜜をためる。これを距(きょ。もと、鳥の蹴爪のこと。)と言います。かつて子どもたちは、スミレの距が後方へ突出しているのを互いに引っ掛けあって遊びました。また伊勢地方では、むかしスミレの花を太郎坊、ジロボウエンゴサクの花を次郎坊とよび、二つの花の距を引き合って遊んだようです。このとき、子どもたちは「相撲(すまひ)とれ、相撲とれ」と、はやし立てて遊びました。その「相撲とれ」が転化して「スミレ」となり、それが花の名前に転用されたという説です。
■スミレヤッコ(Purple-mask angelfish)スズキ目キンチャクダイ科/学名:Paracentropyge venusta
漢字では、「菫奴」。サンゴ礁外縁の岩棚の下や割れ目などに生息している小型のキンチャクダイです。逆さに泳ぐこともあります。黄色と紺色が鮮やかで美しく、ダイバーの人気は高いです。警戒心が非常に強く、すぐに隠れてしまうので、見かけることが少ないようです。
「アデヤッコ」という魚もいます。