月の魚(3)
■「月魚 (文庫)」 著:三浦しをん
古書店『無窮堂』の若き当主、真志喜とその友人で同じ業界に身を置く瀬名垣。二人は幼い頃から、密かな罪の意識をずっと共有してきた―。瀬名垣の父親は「せどり屋」とよばれる古書界の嫌われ者だったが、その才能を見抜いた真志喜の祖父に目をかけられたことで、幼い二人は兄弟のように育ったのだ。しかし、ある夏の午後起きた事件によって、二人の関係は大きく変っていき…。透明な硝子の文体に包まれた濃密な感情。月光の中で一瞬魅せる、魚の跳躍のようなきらめきを映し出した物語。
●三浦しをん 1976年、東京生まれ。早稲田大学卒。就職活動中に才能を見出され、2000年、長篇小説『格闘する者に○』でデビュー。Boiled Eggs Onlineにて「しをんのしおり」を連載中。
■「月の魚」
フグ目の魚マンボウは、英名をOcean sunfish(海の太陽魚)、仏名をPoisson lune(月の魚)といいます。体は卵形で、よく側扁する。胸鰭は丸い。尾鰭はなく、尾鰭のように見えるのは舵鰭(だき)と呼ばれ、これは丸い。
マンボウ科は世界に3属3種、マンボウ、ヤリマンボウ、クサビフグがいるが、この全種が日本にも分布する。全長3mに達するが、皮が厚く、肉の量は少ない。肉は白身でやわらかく淡泊、新鮮なものは美味しいが、鮮度が落ちると生臭くなるため、地元で食べられることが多い。マンボウの腸など、内臓も喜ばれる。