私の蝶書(90) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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■フランス語では、蛾と蝶を区別しない。

papillon de nuit」直訳すると「夜の蝶」。蛾に相当する単語はないわけではありませんが、ひとつの単語として存在しているわけではありません。「蛾」を広辞苑で引いてみると・・・

「蛾:チョウ目のチョウ以外の昆虫の総称。形態上はチョウと明確な差はない。夜間活動し・・・触覚は先端ほど細くなり、櫛歯状になっているものもあるなどでチョウと区別するが、やや便宜的。」

さらに調べると・・・元来、漢語の「蝶」とは「木の葉のようにひらひら舞う蟲」を意味し、「蛾」とは蚕が繭を作り、そこから羽化した蟲、すなわちカイコガ及びそれに類似した蟲を意味する言葉である。そのため、この漢語概念を取り入れた日本語において、そもそも「蝶」と「蛾」は対立概念ではなかったのである。今日的な「蝶」と「蛾」の線引きの起源をたどってみると、英語における"butterfly"と"moth"の線引きと一致し、英語圏からの近代博物学の導入に伴って英語の文化的分類様式が科学的分類法と混在して日本語に持ち込まれたことが推測される。」と出ていた。蝶と蛾が区別されていなくても、学問的にはたいして重要ではないということなのだろうか。

蝶足膳

■蛇足・・・ではなく「蝶足」というのがある。膳などの足の末端がチョウが羽を広げたような形になっているものを言うそうです。さらに、メガネのブリッジ部分から出ている鼻に直接あたる部分の針金のクネッとしているところも「蝶足」と呼ぶそうです。

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■鎌倉時代から江戸時代まで、みんなで囲むお膳は使わなくなります。武士の社会は縦構造で、人が二人いれば身分の上下が意識されますから、同じお膳について食事するということが成立しない。家族であっても男か女か、年齢が上か下かといったことで、別々のお膳で食べるようになります。そうした武家の習慣が、庶民の生活にも影響を及ぼしていきます。この図版は商家での夷講の祝い膳ですが、主人夫婦、養子の息子、番頭や手代など使用人が使うお膳が、それぞれ異なっています。主人夫婦は脚が蝶々のようなデザインの蝶足膳を使い、息子と使用人は宗和膳を使っています。蝶足膳は最高級のお膳で、その次が宗和膳、ここまでがお客用の膳です。同じ宗和膳でも脚が高い方が身分の高い人用で、図版では息子の宗和膳の方が少し脚が高いことが分かります。

絵図

■吊り灯籠の下の部分も、「蝶足」と呼びます。右のものは「猫足」だそうです。

つりとうろう