「権利消滅状態」(パブリック・ドメイン)という法律上の概念のおかげで、芸術家たちは古代のさまざまな芸術作品を利用したり、一部を借用したりすることが認められている。このような作品が生まれたときに著作権が存在しなかったか、すでに著作権の期限が切れているからだ。権利が消滅して社会の共有財産(公有)となっている作品群は、偉大な人々が残した宝の山だ。アイデアや思索の数々が、新しい世代の人々に利用してもらえるチャンスが来るのを待っている。「われわれの文化は、全く新しいものを発明するのではなく、時代の変化や人間どうしの関係のあり方の変化に応じて、優れた洞察力をもっていくつかのテーマを再利用することによって成り立っている」と、ワシントンで活動する知的財産弁護士クリス・スプリグマン氏は述べている。米国議会では、著作権の有効期間を頻繁に延長してきた。現在、企業の場合は95年間、個人の場合は本人の存命中と死亡後70年まで著作権が保護される。「著作権の管理機関は、特許局とは違う。特許局は、どの特許と商標を企業に許可するかを決定しなければならない。特許局は権利を認可するが、著作権管理機関は何がこれまでに制作されたかを記録するだけだ。特許権を認可している特許局は、その権利の期限が切れる時期についての記録も持っている。」特許の有効期限は20年間で、米特許商標局が厳密に監視している。一方、著作権の所有者のために作品の権利消滅を監視する中心的な機関は存在しない。多くの場合著作権には期限が有り、それを過ぎれば失効することが明記されている。国際的には「ベルン合意」と「UCC」が判断の基本に成る線のようである。日本の国内法における期限はベルン合意同様著者の死後50年と決められている。