歌舞伎(1) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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日本のストライプで忘れてはならないのが歌舞伎の「定式幕」です。劇場に入ってまず目につく幕。三色の木綿を横につないで作った約32mの引き幕で、歌舞伎ではこれを定式幕という。一説には、これの色の並びには決まりがあって、舞台に向かって右(上手)から柿・黒・萌黄(もえぎ)の順を「定式」とする。柿色を茶、萌黄を緑に呼び代えて、茶、黒、緑の頭をとって「茶汲み」と覚えるそうです。官許の劇場はそれぞれの定式幕を持っており、江戸三座筆頭の中村座は右から「黒茶白」、市村座は「黒茶緑」、森田座は「緑茶黒」の配列で、定式幕は官許の証でもありました。三つの色は古代中国の五方五色の観念に由来し、赤白黄青黒の五色の中から萌黄は青が、柿色は赤が変化したものという考えに基づいて、この三色で神に居場所を知らせる目印としたそうです。「三」は日本人が伝統的に大切にしてきた数で『日中比較芸能史』(諏訪春雄著)によれば定式幕の三色は神の寄りつく依代の役割を持つのだそうです。