バウハウスに憧れる理由は優れた画家が教師としてそろっていることにある。画集と実物作品の違いに感動させられた画家カンディンスキー。子どもの走り描きのような奔放な作品であるにもかかわらず、その完成度・緻密さに驚いた。わけのわからない作品どころか、細部にまで神経が行き届いている。すべての音には、色と形と動きがある。黄色やオレンジ色や、明るいブルーの色彩が、まるで脈絡がないように見えながら、その実は見事な整合によってシンフォニーをうたいあげる。かならず耳にする造形理論の原点「点・線・面」はカンディンスキーの著書のタイトル。表面のシルエットに内在するカタチを見出しさらにこれを分析して、彼が当時教職についていたバウハウスで造形理論として教えた。教授として活動するかたわら「象徴」「記号」を画面に用いた叙情的幾何学主義ともいえる作品を制作。クレー、ファイニンガーらと「四つの青」グループ結成。「点・線・面」刊行。バウハウスとともにデッサウ、ベルリンへと移ったが、1933年バウハウスの閉鎖後、パリ近郊に移住。フランスに帰化し、有機的形態や象形文字のような形態をもちいた作風を完成。