教科書に掲載された作品でとても気になるものがあった。尾形光琳さんの「紅白梅図屏風」である。たいがいの人はその不思議な造形が気にかかるはずである。実物を見たくてMOA美術館にも行ったが、国宝で年1回しか公開しないとのことで、やっぱりお目にかかれないでいる。「燕子花図」も根津美術館にも行ったが、やはりこれもお目にかかれなかった。さて、「紅白梅図屏風」が制作された頃、光琳さんは三角関係に悩んでいたという話がある。この絶妙の構図は男女の関係を示しているという。そんな話を授業ですると、子どもたちは眼を輝かせたものである。さてさて、津軽家に伝来した国宝「紅白梅図屏風」が、銀を使わずに銀箔を張ったように見せるなど、特殊な技法で描かれていることが、東京文化財研究所の調査で分かった。地の部分も金箔を使わなかった可能性があり、美術史の常識を覆す調査結果として注目を集めそうだ。金箔張りと考えられていた金地の部分からは、通常の金箔よりごく薄い金の反応しかなく、若干のはけ目も確認されることから、金粉を溶いた「金泥」を塗った可能性が高いという。流水と金地のどちらにも箔を重ねたような筋があるのは、あたかも箔を張ったかように描いたと考えられる。そうした技法は例がなく「三百年間、箔だと信じ込ませた」のだから、光琳さんはなかなかのやり手だった・・・ようですね。