人身事故でよく電車が遅延する路線、というのがある。
飛び込みしやすいなにかがあるのだろうか。
電車の遅れは、人を疲れさせる。イライラさせる。
一方で、電車に飛び込まなければならないほど人生で苦境に追い込まれている人がいる。
電車に飛び込むなんて、余程のことなのだ。
わたしには、とてもできない。
それほどの苦しい状況に立たされている人がいるのだ。
そしてまた、わたしたちがイライラしながら駅のホームで電車を待っている間、あるいは車内で人に埋もれて窒息しそうになっている間、死体を処理する人たちがいる。
電車に飛び込んだわけだから、損傷なんてものじゃないだろう。
女性の長い髪が車輪に絡みついていることもある。その髪を車輪から外していかなければならない。これは警察官が行うという。
地獄のような仕事だ、と思う。
ぐちゃぐちゃになった死体と格闘する。
夜、眠れなくなりそうな作業である。
車内では、人々の不満が渦巻く。
だんだん殺気だってくる。人の密集で息もできないくらいだ。
ようやく電車が動きだす。
駅に着く。
もみくちゃにされながら流されるように電車から降りる。
ホームにいた人が、またどっと社内に流れこむ。
これから仕事だけれど、もうすでにヘトヘトだ。
だけど、飛び込まなければならないほどの事情は、ない。
どれほどの苦しさを背負って今まで生きていらしたのだろうか。
いろんな人生がある。
どうか、電車に飛び込むほどの苦しみを抱える人がいなくなりますように。
願うだけでは、何もかわらない。
そうした社会をみんなでつくっていきたい。
そのために、できることは何か?
答えは、まだない。
庶民の目ぇ![]()