まなぼ~は自分のプレイが作品として世に出る事は面白そうだなとは思ったがそんな事のために来たのではないので悩んでしまった…。
H氏はミキサーテーブルに置いてあるコード進行(譜面)をまなぼ~に渡す。
H「これに沿って16ビートのカッティング刻んでみてよ」
コード進行表を見て押し黙っていたまなぼ~が口を開いた。
ま「俺、コードが分からないんです…。だから…」
H「え?冗談でしょ。あの時バリバリジャズコード弾いてたじゃん。てっきり理論も勉強してんのかなと思ってたけどな~」
ま「ジャズコードですか??よく分からないですが。俺の曲は頭の中のイメージを一音一音拾って作ったので…」
H「ははは、そうだったんだ~。感性のギタリストだね。俺も昔はコード知らなくてさぁ、売れてない頃バイトでスタジオミュージシャンまがいな事やってた時譜面渡されても分かんなくてね、隠れてコード表見てカンニングしてたもんだよ。
懐かしいねぇ。
じゃあ耳コピなら出来そう?」
ま「昔エレキやってたんでそれなりには…」
H「じゃあTAB譜ならイケるクチだね(笑)でももし音楽で生きて行くならいずれしっかりと理論も勉強しなくちゃね。ま、そういう事なら今日はデモ聴いてみてコード進行覚えて貰おうか」
ま「出来るかどうかわかりませんが聴かせて貰ってもいいですか?」
H「OK,K君ちょっとあれかけてくれる?」
K「はい、L.W.ですね」
比較的小さな音で流れ始めたこのL.W.と呼ばれる曲はイントロを聴いただけで名曲とわかるほどキャッチーで聴き手にも弾き手にも気持ち良さそうな曲だった。
まなぼ~は鳥肌が立ち曲を聴き終わる頃には茫然と立ち尽くしていた。
気が付くと頬に涙が伝っていた。
このH氏は俺と同じ香りを纏っているかも、とは感じてはいたが、俺よりももっと深い哀しみと強い意志を持っている。とまなぼ~は感じ取った。
つづく。