H「ねぇ、ちょっと一曲聴かせてくれないかな」
今日もまなぼ~はストリートに出てギターを奏でていると座り込んでいたまなぼ~の目線より遥か高いところから声が聞こえた。
ま「……。」
まなぼ~は見上げもせずおもむろにオベーションのギターを抱え歌い出した。
今まで溜めてきた別れ、諦めてしまった彼女への想いを歌声と共に掻き鳴らすギターで表現してきた。
その想いは彼女へ伝わるのか…否!!
そんな絶望的感情を歌い上げるといつもサビに入るブレイクで涙が流れ落ち前が見えなくなる。
泣きながら歌うまなぼ~をH氏は黙って聴いている。
自然に街行く人達が集まり始め、曲が終わると一斉に拍手がおこる。
そして何曲か歌い終え開いたギターケースにお金が投げ入れられる。
H氏も涙ぐみながら拍手をし、まなぼ~に歩み寄る。
そして、
H氏「よくなくギターだね」
ま「泣くつもりはないんですけどね…ある一件が俺を涙脆くしてるんでしょうね…」
まなぼ~は初めて目をあわせるとそう答えた。
H氏「え?、いや、失礼。俺が言ったのは…いい音のギターだなと思ったんだけど。もしよければそのギター譲ってくれない?今度アンプラグド演るんでいいエレアコ探してたんだ。」
勘違いに気付き顔を真っ赤にしながら
ま「いやこれだけは譲れません。」
H「まあ、考えてよ。そんな焦げたギターだと長い間プレイ出来ないでしょ。気が向いたらここにおいでよ」
そう言ってH氏はメモした紙切れをまなぼ~に渡した。
そして数日後。
まなぼ~はH氏の指定したスタジオの中に入って行く。
(金が欲しいんじゃない。過去に捕われた俺が抜け出すのはこのギターを手放さないといけないんだ…)
そう言い聞かせた。
受付の人に取り次いでもらい案内されたスタジオの一室は小さいながらも最新の機器が揃っていて何か生み出すのにパワーを秘めた空間に感じた。
その部屋の1番奥にH氏が椅子に腰掛け、ファイアーバードを抱いている。
まなぼ~の存在に気付いたH氏はブースの向こう側からドアを開け、手を振りながらまなぼ~に近付いてきた。
ま「ギター持って来たんですけど…」
H「あぁ、そこに置いといて。あのさぁ、今曲書いてるんだけどアコギパート弾いてみない?」
ま「え?…俺がですか?」
驚きを隠せないまなぼ~。
H「実は…ギター売ってくれっていわないと君来そうにないから嘘つかせてもらったけど、あの時、え~と、君、名前は?」
ま「まなぼ~です」
H「まなぼ~君のプレイが気に入ってさぁ、俺のイメージしてる曲のイメージにピッタリだし。どう?演ってみない?」
つづく。