「杉原さん、手キレイだよね」 | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」

きのうのブログに書いた、

流山での高等遊民会議

 

その夕食の際の、

忘れがたいエピソードについて

書くのを忘れていた。

 

その時、キッチンではメンバーの女性が

鶏肉の料理を作っており、

僕はその手伝いをしていた。

 

その時ふいに、

彼女が僕にこう言ったのである。

 

「杉原さん、手キレイだよね」

 

えっ。

 

正直ドキッとした。

 

「手がキレイ」と言われたのなんて、

人生で初めてのことだ。

 

僕の手は人並み外れて小さくて、

指もものすごく短い。

 

そんな僕の手が、

「キレイ」と言われる日が来るとは。

そしてそれが、こんなにうれしいだなんて。

 

僕はちょっと、

女性の気持ちがわかったような気がした。

 

「え、いや、そうかな?

 指も短いし、そうでもないと思うけど……」

 

手をさすりながらモジモジしていると、

彼女は作業をしながら、僕にこう言った。

 

「手キレイだったら

 その鶏肉揉んでほしいんだけど」

 

「え?」

 

そう。

 

「手キレイだよね」というのは、

「手が美しいね」という意味ではなく、

「手は汚れてないよね」という意味だったのだ。

 

ボウルの中で調味料に漬けられた

鶏肉を手で揉むために。

 

僕が問われていたキレイさとは、

「ビューティフル」ではなく、

「クリーン」の方だったのだ。

 

なんてことだ。

 

さっきの心のトキメキを返して欲しい。

こんな恥ずかしい思いをしたのは久しぶりだ。

 

そのあとみんなにこの経緯を話して、

酒のツマミにされたことは言うまでもない。

 

でも、

「手がキレイ」と言われるうれしさを

人生で初めて知った経験は貴重だった。

 

僕もこれからは、

人の手のキレイさを積極的にホメていきたい。

 

もちろん、

「クリーン」ではなく

「ビューティフル」のほうで。

 

 

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