会心のアメリカン・ジョーク | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」

ひょんなことから、

ある人の保険の契約に

立ち会うことになった。

 

契約の手続きはすんなり終わり、

いきおい話の矛先が僕に向けられる。

 

だが僕はたぶん、保険から最も縁遠い

人間のひとりだ(雇用保険除く)。

 

「保険は何も入ってないですねぇ……」

 

「そうなんですね。ご年齢は?」

 

「もうすぐ40になります」

 

「あ、保険は40歳でガツンと

 保険料が一気に上がるんですよ。

 病気とかも増えてきますし、

 入れるのが少なくなってきますからねー」

 

「そうですよね。

 まあ40過ぎて入れるのは

 棺桶くらいなもんですよね(笑)」

 

我ながらうまいこと言った。

 

ひとりで悦に浸っていたのだが、

それを聞いた保険の外交員の女性は、

深刻な顔で、

 

「いや、そんなことはないですよ。大丈夫です」

 

と心からの励ましの言葉をかけてくれた。

 

「ありがとうございます」

 

そこから死亡保障の話題になった。

 

こういうしんみりしがちな話のときは、

ついつい場をなごませようとして、

くだらないことをしゃべってしまう。

 

「しかしあんまり高い死亡保障だと、

 配偶者に毒殺されたりしそうですよね。

 毒殺保障とかはないんですか?」

 

会心のアメリカン・ジョークだ。

 

ツッコミを待っていたのだが、

外交員の女性は

 

「えーっと毒殺保障は……」

 

と何かを懸命に思い出そうとしている。

 

ついには本社に問い合わせそうな

勢いだったので、

 

「あ、大丈夫です」

 

と断って事なきを得た。

 

こういう冗談が真に受けられて、

深刻な問題に発展するということを、

僕はすでに何度か経験している。

 

そういうのに対処してくれる

保険があったらぜひ入りたい。

 

 

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