高等遊民たちが集い、
ひたすら意味のない時間を過ごす。
効率性と経済性が求められる現代において、
おそらく世界で最も非生産的な会議、
それが「高等遊民会議」である。
開催は都内某所で月1回ほどだが、
いつのまにか10回以上を数えるに至った。
そんな無意味な会に
なぜか賛同してくれたU氏の提案で、
那須にあるU氏の別荘で
「高等遊民会議・那須合宿」
を開催することになった。
開催日はもちろん平日。
ところが最初に計画していた出発日が
ちょうど台風通過と重なってしまった。
普通は、
「またスケジュールを調整して…」
となるところだが、
「じゃあ予定を1日後ろにずらしましょう」
で全員オッケー。
このヒマさに裏付けられた対応力は、
まさに高等遊民ならではである。
当日はU氏の車で那須へ向かい、
まず地元のおいしい蕎麦屋で昼食。
その後、U氏の山小屋へ向かった。
夏の間はできるだけここで過ごすというU氏。
本当にうらやましい限りだ。
ちょっとゆっくりしてから
僕がテレビで見て気になっていた
ベーカリーカフェ「ペニーレイン」に向かい、
翌朝のパンを購入。
そこから牧場に向かう道中では
野生の猿たちも出迎えてくれた。
続いて「九尾の狐」が石にされたという
「殺生石」を見に行った。
そのまま、近くの温泉へ。
「殺生石」の方から温泉が流れる
パワーあふれるお湯にもかかわらず、
値段は町の銭湯と変わらない400円。
温泉自体はいろんな温度のお湯が並び、
ぬるい方から順番に入っていく仕組み。
「九尾の狐」の霊力と
硫黄の香りに包まれて、
なんだか野生の魂が蘇ってきた。
夜は暖炉で薪を焚きながら、
買い出した食材を使った鍋とお酒。
高等遊民のI君が次々とオシャレな
ツマミ&サラダを作って出してくれて、
一気に華やかな雰囲気の食卓に。
いつもアジアの若者たちを招いて
もてなしているというU氏も、
「自動的にこんな料理が出てくるなんて初めての経験です!」
と感動されていた(笑)
そこからは自然といつもの高等遊民談義へ。
森の山小屋という環境のせいか、
「人間の本質は何か」レベルまで
議論は進んでいったのであった(笑)
朝は山小屋のテラスでモーニングを満喫し、
昭和天皇が研究でよく訪れたという沼ッ原湿原へ。
「熊出没注意!」の看板を横目に、
鈴を鳴らしながら美しい湿原を散歩した。
お昼は、川魚を串に刺して囲炉裏で焼いてくれる
「自然料理の店テンカラ」ヘ。
目の前で魚が焼けるのを眺めながら、
ここでもいろんな話をした。
吊り橋や滝を巡った後は、秘湯「北温泉」へ。
どうやらテルマエ・ロマエのロケ地でもあり、
実に由緒あるたたずまい。
温泉は一応男女で分かれているのだが、
男湯の方には女性の着替え場所もあり、
いまでも「混浴可」の雰囲気だ。
最後は那須塩原駅で解散。
那須塩原は初めてだったが、
まだまだ魅力的な場所がたくさんあるそう。
帰宅後のベッドの中で、
「高等遊民会議にしては
有意義すぎたのではないか……」
と反省に浸ったことは言うまでもない。
次回の高等遊民会議では
この反省をテーマにしようと思ったが、
それでは意味がある気がしたので
やめておくことにした。