座りながらバッグの中を
ごそごそとやっていると、
抜け目なくハトが集まってくる。
こちらから見れば
食べ物欲しさに寄ってきているのは
わかりきっているのだが、
彼らは露骨にねだるようなことはしない。
さも、
「たまたまここに着陸しました」
というような顔をして、
「あんたが俺にエサあげたいんやったら、
あげてみたらええんちゃう?」
という態度をとりながら、
少しずつ距離をつめてくるのだ。

そのくせ、何も出てこないとわかった時の
去り際の早さはハヤブサ並みだ。
どこでそういう演技指導を受けているのか。
指導者にはもう少し彼らに
「去り際の美学」というものを
教え込んでいただきたい。