先日、道を歩いていたら、
前からマスクをした若い女性が歩いてきて、
僕の顔を見るなり、
「あっ……!」
と言ってマスクを外し、近寄ってきた。
僕も一瞬「知り合いか?」と思って、
彼女の顔を見てみたが、
どうにもこうにも見覚えがない。
忘れてしまっていたら失礼やな…と思いつつ、
必死に記憶をスキャンしてみたが、
どうしても思い出せない。
すると女性が僕に向かって、
「田村さん……じゃないですよね」
「あ、違います」
「すいません」
「すいません……」
となり、なぜかこちらまで
ついつい謝ってしまった。
このあたりに、
ヒゲ面の「田村さん」が
存在することだけはわかった。