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二人の著者が、思想の縦糸と横糸を、
丁寧に、ゆっくりと紡いでゆくような、
編み物のような往復書簡である。
近代以降の労働のあり方が、
人々の精神のあり方をも変化させてゆく。
相互性を失った労働は、
多様性の喪失とともに、
ひとびとを個人へと解体する。
そのようなプロセスを詳細にあぶり出す本書は、
近代の労働について考察する上で
必ず読んでおきたい一冊である。
「労働とは『自己実現』だというような今日的な発想は、
いかにも近代的な浅薄さを感じさせます。
それは労働を日常的な営みから
切り離してしまった近代人たちが、
自分の労働に意味付けを
しなくてはならなくなった時代の発想、
つまり労働に対して構えなければならなくなった
人々の発想を感じさせてしまいます。」
このような視点を、
いったい誰が教えてくれるだろうか。
長い歴史の中で現代をとらえることでしか
見えてこないものがある。
キャリアデザインなどについて考えるまえに、
そもそも人間にとって労働とはなにか、
といったことに想いを馳せてみることの方が、
いまの時代にはずいぶんよい気がするが、
どないでしょう。