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西洋哲学=知性万能主義、
という見られ方をされがちだが、
ベルクソンのように、
そのことに異議を唱えた人達がいた。
実際には、西洋哲学にはそうした
複数の流れあったと言えるだろう。
ベルクソンは、生命進化の根源にあるのは
「生命のはずみ」であるとし、
これを軸に自由、意志、時間など多くを論じた。
生命は絶えざる創造の連続であり、
それは知性ではとらえられない。
それをとらえられるのは直観である。
その直観は「ある意味で生命そのもの」
であるが、現実には直観はほぼ完全に
知性の犠牲になっているという。
「直観の哲学は科学の否定になり、
科学によって遅かれ早かれ一掃されることであろう」
という危機感を表明しながらも、
最終的には知性と直観の融合に希望を托していた。
ベルクソンの言うように、
「知性は生命にたいする本性的な無理解を特徴とする」
ならば、知性に依存する近代ー現代という時代は、
生命に無理解な社会を構築せざるをえない。
この問題を私たちはどうとらえるべきか。
たとえば、iPS細胞の利用を無条件に歓迎してよいのか。
そんなはずはないだろう。