
¥1,260
Amazon.co.jp
経済学者ではなく、哲学者が書いた貨幣の本。
だが、ある大学の経済学の授業では、
教科書として使われているらしい。
著者が述べているように、この本の目的は、
「貨幣をめぐる古典経済学の担い手たちの悩みが、
いかに発生してきたのかを明らかにすること」
であり、
「その悩みを、なぜ彼らの理論は
解決することができなかったのか」
についての考察である。
いまや私たちの社会は、貨幣なしには
成立しえないかのように展開している。
しかしかつての古典経済学の担い手たちは、
そのことを自明のこととしてはとらえていなかった。
むしろその弊害をいかに克服するか、
あるいはいかに貨幣を「抹殺するか」について
考え続けていたのである。
「神の見えざる手」で知られるアダム・スミスも、
貨幣に「神」の地位を与えてはならないと考えた。
しかし今や、貨幣にひざまづかずに
おれる人はほとんどいない。
この本には多くの経済学者や思想家が登場するが、
僕が特に面白いと感じたのは、
モーゼス・ヘスやジョン・ロックの思想である。
古典経済学の入門書として、
そして幸福な社会のあり方について考えるには、
うってつけの一冊であろう。