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社会問題を考えるとき、
道徳や説教を叩き込むことによって
それらを解決しようとすることが
いかに無意味かを教えてくれる本。
こういったことも含めて、
「人間とは、弱い生き物である」
っていう考え方が大事なんちゃうかなー。
日本の政策、特に教育にこういう考え方が
取り入れられてくるといいなと思いました。
以下メモです。
すべてが国営企業で行われていた時代の中国の人たちは、
「大釜の飯」「鉄腕の飯」でちっとも
勤勉に働こうとはしませんでした。
その理由は先ほども述べたとおり、
何の見返りもない環境で
他人のために奉仕をするという心は、
私たちの「人間性」の中になかったからです。(p28)
経営者たちのモラルを向上させよう、
子どもたちに道徳教育をしようー
そうした「お説教」で問題が解決するのであれば、
今ごろ、私たち人類は何一つ犯罪が起きることもない
「地上の楽園」に住んでいるはずなのです。(p41)
つまり、日本人の心の働きも、
アメリカ人の心の働きも、
そう大差はないというわけです。
また、それと同時に重要なことは、
日本人が自己卑下傾向を見せるのはあくまでも、
謙虚にしたほうが日本社会ではメリットが
あるからにすぎないという事実です。(p62)
そんなことは誰でも分かってはいるのですが、
こと他人がやった行為については、
そうした「事情」があってのことではないかと思わずに、
その人がそういうことをする
「心の持ち主」だと考えてしまうのです。(p81)
すなわち、私たち日本人は「和の心」を持ち、
他人と協調する精神を持っていると言われてきたわけですが、
そうした協調的な行動は誰に対しても行われるものではなくて、
あくまでも相手が「身内」であるときに
限られていたというわけです。(p110)
そもそも、人間の心の働きとは、
与えられた環境に対応する形で生まれてくるものです。(p136)
「日本人らしさ」と呼ばれるものは
日本人の心の中に最初からあるものではなく、
日本の社会にうまく適応するために
生まれてきた「心の働き」である(p165)
同じ集団であっても、
最初に何人の人がいじめ反対運動に協力してくれるかの
パーセンテージによって、最終結果が正反対になっていく(p199)
それよりも、もっと効果的なことは、
約束を守ったほうがトクをする社会、
正直者でいるほうがトクをする社会を作ることです。(p209)
「日本人の精神をたたき直すために、
武士道の精神を取り戻す必要がある」
というのは、まったく的を外れた議論であるばかりか、
かえって社会全体を誤らせる話に他ならない(p249)
満足度
★★★☆☆
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