
これほど深く、長い時間「ほんとうのこと」を
追求しようとしている人がいる。
こういう人がこの世の中に存在してくれている、
というその事実だけで、僕は本当に心強いし、希望が持てる。
「言葉のいちばんの幹は、
沈黙です。
言葉となって出たものは
幹についている
葉のようなもので、
いいも悪いも
その人とは関係ありません。」
僕はこの言葉を読んだとき、
涙が出るほどうれしかった。
ずっと昔から思っていたことを、
こうしてはっきりと
言葉にして言ってくれる人がいた。
こんなに嬉しいことはあまりない。
僕は昔、ちょっとした言葉の誤解で、
自分の人格を強く否定されてしまった経験がある。
それも、自分のことを分かってくれている、
と思っていた人たちに。
それはあまりにもショックな出来事だった。
それから僕は、
「自分だけは絶対に、
他人に対して同じようなことはするまい」
「言葉そのものに意味があるわけじゃない。
その言葉を発する人間の本質を見なければならない」
ということをいつも考えるようになった。
それを僕は
「言葉の根っこをつかまえる」
という風に表現してきた。
さらに厳密に言うと、それは
「つかまえて」しまってはいけない。
つかまえずに、眺める。
そして、「かもしれない」を積み重ねる。
そうして、相手の人間の核の部分に、
できるだけ近づいていく。
そこに近づくことができれば、
相手の言動に一喜一憂することがなくなる。
・・・と、話が本からずれてしまったが、
吉本さんの言葉や文章には、
ときどき本当に強く心を揺さぶられる。
自分が知りたかった「ほんとうのこと」を、
吉本さんは言葉で、声で語ってくれる。
この人のことを、もっと知りたいと思う。
満足度
★★★★★
マナブはミュージシャンとしても活動してます。
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