
人工知能についての新聞記事を読んで意見を述べる「第1回子ども白熱会議 」のために、応募用ビデオを撮りました。
ある生徒が、棋士の羽生善治さんの「"人工知能同士が対戦する棋譜でいい"と多くの将棋ファンが言ったら、棋士の仕事はなくなる。」という記事を紹介してくれました。棋士をアスリートのように捉えていた生徒は、
「なぜ、羽生さんが、人工知能の普及が棋士の職業を脅かすと考えるのか分からない」
と感想を述べました。そして、続く発表の中で、
「きっと羽生さんは、棋士という職業を"未来に残す棋譜をつくる人"と思っている」
という考えを述べてくれました。
自分のやっている仕事で一番大事にしていることが「機械で代用できる」と言われたら、誰でもショックだと思います。そして、普通なら人間がやる利点を挙げて反論したくなるものですが、羽生さんの言い方は、少々、独特です。
羽生さんは、自分の職業を市場原理に照らして捉えています。羽生さんは将棋ファンのいる市場と、そして人工知能も同じ市場を相手にしてそれぞれ戦っています。市場に必要とされる棋譜が人の物なのか人工知能の物なのかが、棋士という職業の存続を左右しているという指摘です。この考え方は、あらゆる職業で共通して使えます。そして、我々、職業人の戦う相手は人工知能そのものではないことを教えてくれます。
会議に登壇するパネリストとして、他の生徒が2名選出されました。会議はどのように白熱するのでしょうか。楽しみです。