義長姉は6人部屋で 他の患者さんたちも末期がんや重症の方が多く

数日ごとに 姿を見なくなると「ああ、天にお還りになったんだ」と思うけど

みな明日はわが身と思っているから 誰もそのことに触れないいんだよって笑いました。

 

義母と義次姉が用事で席を外し ベッドで義長姉と2人きりになりました。

実のお父様の先祖供養のお札をお渡しすると

気丈で スパルタな義長姉が ポロポロと涙をこぼしました。

 

姉:実はね、手術することになって、もうダメかも、帰れないかも(死ぬかも)って思ったの。

   それでさ、入院前にいろいろ古いものとか整理したんだよね。

   そしたらさ、小さい頃の写真がいっぱい出てきたの。

   綺麗なカッコしてさ、ほんとに大事に、愛されてるなって、写真がさ。

   絶縁した父にさ、当時はいっぱい愛されてたなってこと、思い出した。

 

 

 

病気平癒の祈願が必要な姉に

先祖供養なんて 筋違いなんじゃないかと懸念していたのですが

絶望の淵にいる義長姉に 亡くなったお父様が 寄り添ってくださったように感じました。

 

 

 

また 義母の再婚相手である義父が 養子縁組で引き取ってくれなかったにも拘らず

義父が脳卒中で倒れ、働けなくなってからずっと

義長姉は義母に経済的援助を続けていました。

姉の中には 母を思う気持ち、

置いて行かれたことで継母との絶縁する程の葛藤を味わい、

引き取ってもらえず、一緒に暮らせなかった苦しみ…。

様々な思いが入り乱れていたことと思います。

 

大人になって 母を慕い、援助しつつも

仕方なかったから、言えなかったこと。

わかっているから、ぶつけてはいけないと自制してきたこと。

「なぜ、私を置いて行ったの?」

「なぜ、私は守ってもらえなかったの?」

ずっと 押し殺してきた思いが 噴き出したのがあのウナギの一件ではないかと。