車内置き去り事故について

 

この事故の概要は

日時:11月12日(土)

2歳の女児が、家族所有の車内で意識不明の状態で発見され、間もなく搬送された 病院で死亡が確認された。

父親がこの日の朝、3人の子どもを車に乗せたが、4歳と1歳の子ども2人を認定こども園に送った後2歳の女児のみ他の保育園に預けるのを忘れて家に帰った。

その後、自宅駐車場に約9時間置き去りにしたと見られる。

17時過ぎに女児の保育園に迎えに行ったところ、登園していないと言われ

改めて保育園駐車場で自車であるワンボックスカーを確認したところ、

3列式の座席の最後列にあるチャイルドシートでぐったりしていた女児を発見。

父親は「保育所に送り届けたつもりだった」と説明している。

この日の気温は高く、最高気温は24.1℃であった。

死因は熱中症であるとされ、死亡推定時刻が16時頃。

 

亡くなったお子さんに対しては

心からご冥福をお祈り申し上げます。

そしてご両親に対しても、お悔やみを申し上げます。

 

 

問題の背景を考える

 

問題点はいくつかあるが、今回は保育園側にある問題点に絞って考えたい。

「どうして連絡しなかったんだ!」と園に対する非難も多いようだ。

事故のあった園にはマニュアルもあり、普段は連絡なしの欠席については連絡をしているようだ。評判も決して悪くない。

それなのになぜ?

そういう思いから、園に通う保護者も不安を感じているだろうし、

そこで働く保育士たちも、心を乱していることであろう。

 

もし、これが平日だったら、事故にはならなかったかもしれない・・・

私はそう考える。

土曜日であったことが、保育園側のヒューマンエラーを発生させた一つの原因であるように感じた。

認可園であれば、平日は園長や主任、事務員などの配置があり

仮にヒューマンエラーが起きても、それをカバーする人的体制が整っている。

しかし土曜日は、最小限の保育士配置で運営している園も多く

法定保育士数には問題は無くても、実質的には人手不足である状況が常態化していると言えなくもない。

 

ところで、連絡無しの欠席について

皆さんの園では、どのようなルールになっていますか?

担任が連絡?

だとすると、その間、他の子どもは放置?

幼児だと、法定保育士数によると1人担任も多く、担任がクラスを離れて連絡をするのは現実的では無いですよね。

第一連絡先にすぐに繋がるとも限らず、その場を離れる時間は10分を超える可能性もある。

複数担任であっても、法定保育士数の配置しかないとしたら、

その間、0歳児6人を、1〜2歳児12人を、一人で保育することになる。

子どもがじっと待てるわけもなく、

その間、ハプニングが無いとも言えない。

 

認可園であれば、園長や主任、事務員など、事務室にフリーの人員がいる。

基本的には、保護者への連絡は園長や主任の仕事にするべきだと私は思う。

責任の最終的な所在を担任にするべきじゃない。

そこまでの負担を担任保育士に負わせるべきではないと思っている。

連絡なしの欠席の99.9%はただの連絡忘れであるが、

0.1%は重大事故につながる可能性もある。

 

担任はその日の欠席を事務所に伝えて

事務員はそれを集計して園長か主任に報告をする。

今回の事故があったからというわけではなく

欠席の把握は、感染症などの流行情報も得られるため、

園長や主任にとっては大事な仕事の一つだと思う。

その情報の一つとして、連絡のない欠席があるのだ。

もしかしたら事故にあっているかもしれないし、虐待の可能性もある。

もしかしたら、児童相談所や警察との連携が必要な場合もある。

リスクを考えても、連絡の責任を園長、少なくともリーダー以上のフリー職員が担うべきだと思う。

もちろんWチェックとして、担任はどういう理由での欠席であったのかを、園長に確認する必要はあるだろう。

会議までは難しくても、日中にそういった共有や引継ぎをする時間を作ることは必要である。

保育園では、午睡中にそういった時間が設けられるが

休憩や事務業務もその時間に集中してしまうため、

人員配置がギリギリの園では、午睡中の時間にもホッと一息つくことができないという状況もある。

 

 

行政がやるべきこと

 

 

行政は、今回の事故を受けて連絡の徹底を「通知」した。

これまでも、大津の散歩中の事故、バス置き去り事故の際など、事故が起きるたびに、各園に検証を求め、徹底を通知する。

 

それは必要だろう。

でもその度に、園では業務が増える。

 

新保育所保育指針では、子育て支援も大きな柱となっている。

保育園の役割は、保育だけでは無くなっているのだ。

なのに、保育士配置は昔からほとんど変わらない。

業務は増えているのに変わらないのだ。

つまり、一人にかかる仕事は増えているということ。

現場の仕事は増えている。

そして、責任も確実に増えている。

 

岸和田の事故を受けて、子どもを忘れた父親を責めるつもりは無い。

子育て中の保護者は、それだけ忙しく余裕が無いとも言える。

そして同時に連絡を忘れてしまった保育士の責任を問うこともできないと思う。

 

やるべきことは、どうすればこのような事故を防げるのか、方法と手段を考えることだと思う。

通知だけでは足りない。

それを徹底させたいならば、その手段を考えなくてはいけない。

 

岸和田の事故は土曜日に起きた。

保護者が休暇中でも、子どもを保育することをスタンダードとするなら、

開所している日には、必ず園長か主任のどちらかが事務所にいる体制を整える必要があるんじゃないだろうか。

担任も、最低でも複数担任とし、配置基準の見直しも必要だ。

 

子どもの安全は最優先だ。

子どもの命と心を守るために、現場は最大限の努力をするべき。

それを大前提として、同時に行政がやるべきことも多くある。

「通知」をして現場に努力を強いることだけでは、当然不足だと私は感じている。

子どもと子育て世帯にとって、1番近い存在である保育園や幼稚園、認定こども園の役割は大きい。

日本社会から求められるニーズも高まっている。

それならばやはり、保育士の配置基準の見直しはやっぱり必要なのではないだろうか。

 

今回の事故で、この保育園で勤務する保育者は深く心を痛めていると思われる。

子どもの死は、関わっていた保育士のみならず

保育士として働く人は多かれ少なかれ心理的ダメージを受ける。

保育士の心のケアも必要であると感じている。

 

このような悲しい事故が起きないように、

他人事ではなく、自分事として考えていきたい。

そして国にも、考えてほしい。