※ネタバレしてます!!
※簡易レポですので、選択肢は省く場合もあります!!
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呉用「なぜ・・・今・・・!」
呉用はひどくうろたえていた。
呉用「私のせいか・・・私の思いの強さが、君に影響するらしいということは分かっていた。その証拠に、ここ数日、私の頭の中はみなに筒抜けだった。つまり、その分、君は力を多く使ってしまっている。そして、今・・・」
呉用が郁里の連星に手を置いた。
呉用「願ってしまっていただろう?宋江様を助けたい、どうにかしたい、と」
郁里「あ・・・・・」
呉用「私もだ。おそらく、この思いは、みなに届いているはずだ。結果、力を使い過ぎた。・・・・・もう何も考えるな」
しかし連星に手を置いているせいだろうか。
郁里には、呉用の心の中がはっきり分かっていた。
郁里「呉用さん・・・苦しんでるんですよね」
呉用「・・・・・」
郁里「仲間を守り、一緒に世直しを成功させることが、呉用さんの幸せにつながりますか?」
呉用「世直しは・・・晁蓋様とともに語った夢だ」
郁里「なら・・・・・・私はもう、このへんにしておくね」
呉用「なに・・・・・?」
郁里「離れたくないし・・・大好き、だよ。でも、呉用さんが幸せになれるんだったら、私は離れ離れになってもしまっても構わない」
呉用「これ以上は危険だ!元の世界に戻れるならいいが・・・!」
郁里「それでも、私は呉用さんに幸せになってほしい・・・・・」
呉用「郁里・・・・・!」
呉用が声を荒げた。
郁里「呉用さんが作りたい国があって、呉用さんがそこで幸せになることができるなら、私は呉用さんと一緒にいられなくても構わないよ」
郁里の意識がもうろうとしてきた。
呉用「何を言っているんだ!君が教えてくれたんだろう、自分を犠牲にして誰かを幸せにするんじゃなく、一緒に幸せになる方法があるということを」
郁里「でも・・・」
呉用「散々迷ったが・・・今、決めた。君のことは、もう離さない。私は君と一緒に幸せになる。元の世界なんかに返すものか。君は私のものだ!」
呉用の言葉に、郁里の頭がぼんやりとしてくる。
郁里「呉用さん、まるでプロポーズみたいな言葉・・・」
呉用「ぷろぽーず・・・・・?」
郁里「結婚を申し込むときの言葉のこと・・・なんだ」
呉用「それならば、今、私は君にぷろぽーずとやらをした。だから、君はここにいろ!力なんて使わせない!」
郁里「呉用さ・・・・・」
呉用「手荒な真似をするが、許してくれ・・・・・」
そう言って呉用は、郁里の首を軽く打った。
郁里「つっ・・・!!」
呉用「目が覚めたら、全てが終わっているはずだ」
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郁里「う・・・ん・・・」
鈍い体の痛み。
郁里はゆっくりと目を開けた。
林冲「郁里ちゃん!」
李俊「おーい、目覚ましたぜ」
安道全「ならば、もう大丈夫だろう。白湯でも飲ませておけ」
林冲「どこか痛いところはない?」
郁里「はい・・・・・」
郁里は幕舎の中にいるようだった。
林冲「呉用さんから、気を失った郁里ちゃんを預かったんだ」
ハッと気を失う前のことを思い出し、郁里は慌てて自分の体を確認した。
(透けてない・・・)
林冲「気絶させるなんて慣れないことをやったからって、呉用さん、心配してた」
郁里「あ、あの、それで!呉用さんは・・・!?」
郁里の問いかけに、林冲と李俊が顔を見合わせた。
林冲「『確実に安全なところに連れて行ってくれ』ってオレに郁里ちゃんを預けたあと、宋江さんを探しに出た」
郁里「宋江さんを・・・?」
林冲「曾家に討ち取られそうになったところをどうにか逃れたらしいんだけど、そのあとの行方が分かってなくて」
郁里「そ、そんな・・・・・っ!!じゃあ、呉用さんは・・・!!?」
郁里は思わず林冲の胸にすがりついた。
その時・・・・・。
阮小五「駄目だっ!どっちも見つかりません。先生も、宋江さまも・・・・・!」
その言葉に郁里は起き上がり、幕舎を出て行こうとした。
林冲が慌てて止める。
林冲「どこに行くつもりかな」
郁里「呉用さんを探しに行きます」
林冲「駄目だ!」
郁里「どうしてですか・・・!」
林冲「曾家は大方は討ち取った。五兄弟も。でも、そこらじゅうにまだ残党がうろうろしている。外は危険だ」
郁里「お願いです、林冲さん。離れていても、呉用さんとはどこかでつながっている・・・そんな気がするんです。だから、きっと私は呉用さんの居場所がわかる・・・」
林冲「だが・・・・・」
郁里「お願いします。行かせてください」
李俊「しょうがねぇなあ」
李俊が腰を上げた。
林冲「李俊くん!」
李俊「このお嬢ちゃんに何言っても無駄だぜ。見ろよ、この意思の強そうな目。こっちが折れて、ついていってやるのが得策だ」
林冲「・・・・・」
郁里「李俊さん!ありがとうございます!」
李俊「その代わり間違いなく、軍師ドノたちがいるところに連れて行けよ?」
郁里「はい!」
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郁里は二人に付き添われて、平原をただ心がむくままに歩いていた。
林冲「本当に、わかるのかい?」
郁里「はい、間違いありません」
李俊「これで本当に見つかったら、ちょっと愛の力とやらを信じてみるかな」
林冲「はは、それもいいさ。呉用さんどころか、水軍の利かん坊、李俊の人生までをも変える、か」
郁里「あっ・・・・・!」
木陰から、人の腕が見えた。
郁里が慌てて駆け寄ると、そこに呉用と宋江がいた。
郁里「呉用さん・・・・・!宋江さん!」
呉用「郁里・・・・・なぜ、ここに」
林冲「宋江さん!」
李俊「無事でしたか」
宋江「ああ、呉用のおかげで命拾いをした」
林冲「お怪我は」
宋江「ない。ギリギリのところで、呉用に助けられた。戦おうにも、剣も折れてしまってね・・・情けない話だ」
その時、爆発したような音が響き、地面が小さく揺れた。
遠くで火柱が上がるのが見えた。
呉用「あれは・・・曾家の本営があった辺りか」
林冲「残兵を追っていた隊が、本営を攻略したんでしょう」
宋江「曾家との戦いは・・・終わった」
ポツリと宋江が言った。
呉用「晁蓋様は・・・見てくれているだろうか」
郁里「きっと・・・見ていますよ」
宋江「・・・・・呉用、早く戻らねば」
呉用「大丈夫ですよ、宋江様。慌てずとも・・・」
宋江「しかし・・・・・」
どこか緊張感のある、二人の会話。
郁里に嫌な予感がよぎる。
その瞬間、呉用の体が傾いた。
郁里「呉用さん!?」
その体を郁里はとっさに支えたけれど、ヌルリと手が滑り、バランスを崩す。
郁里「え・・・」
郁里の手にはおびただしい血。
郁里「ご・・・呉用さん・・・・・呉用さん!!!」
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十一章、終了~ヾ(@°▽°@)ノ
次はエンディングです!!