※ネタバレしてます!!
※簡易レポです!!
※今回は内容がシリアスなので、ツッコミどころではありません!!
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呉用が郁里を強く抱きしめる。
郁里は、自分にとっても大切なその命を、粗末にしないで欲しいと頼む。
しかし呉用は、自分のせいで、多くの人にとって大切な人を失ってしまったから、その報いを受けなければならないと言う。
なおもすがる郁里に、呉用は自分がいついなくなってもいいように覚悟をしていてほしいと言った。
こういうときこそ呉用の気持ちが知りたいのに、まったく伝わってこない。
郁里は悲しい気持ちになった。
呉用「これから作戦を決行する」
郁里「・・・作戦?」
呉用「梁中書を追い詰めるための作戦だ。数日中には、戦況は私たちにとって、有利なものになっているはずだ」
淡々と語るその表情からは、もう何も読み取ることはできなかった。
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呉用の言っていた作戦は、夜更けに決行された。
市内に入った史進の軍が奇襲を成功させ、傍目から見ていても、相手が混乱しているのが分かった。
郁里は宋江や呉用と一緒に、市内が見える場所から戦いの様子を見守っていた。
ジャーン、ジャーン
ドラの音が響き渡り、林冲の騎馬隊を先頭にして、梁中書軍への総攻撃が始まる。
梁山泊軍は、圧倒的有利に戦い、夜明けとともに軍を引いた。
みなが勝利を確信し、笑顔を見せていた。
林冲「さすが呉用さんだ・・・!梁中書軍に、圧倒的な強さを見せることができた」
李俊「あとは、阮小五を助け出すだけだな」
林冲「この混乱に乗じて助けに・・・」
呉用「いや、まだだ。阮小五を助け出すのは、勝利が確定してからだ」
盛り上がるみんなを、呉用が冷静に制する。
李俊「なぜだ。負けそうになっていることでヤケになって、阮小五を殺してしまう可能性もあるだろう?」
林冲「ああ、あり得ないことじゃないよね。呉用さん、すぐにでも・・・」
呉用「駄目だ」
呉用は林冲と李俊の意見を一蹴した。
呉用が何を考えているか分からず、郁里はその横顔をじっと見つめた。
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梁山泊軍が総攻撃を仕掛けた翌日。
梁中書軍の陣頭に、梁中書本人が阮小五をともなって現れた。
梁中書「梁山泊軍よ!仲間の命が惜しくば、兵を引け!引かねば、仲間の命はないぞ!」
林冲「二郎・・・・・・!」
李俊「くそっ・・・言わんこっちゃねえ・・・」
連行されている阮小五はひどくぐったりとしていて、遠目から見ても傷だらけなのがわかった。
梁中書「お前たちに、一両日の猶予をやろう。それまでに軍を引け!」
それだけ言い残して、梁中書は姿を消した。
李俊「だから言っただろ!あのときに、助けにいくべきだったんだ!」
呉用「・・・・・・」
林冲「俺も、李俊くんの意見に賛成だよ。昨日のあの混乱の中なら、助け出すことは可能だった。なぜ、奴らに猶予を与えたの、呉用さん」
幕舎での話し合いは、ほとんどが呉用を責めるものばかりだった。
林冲「このままだと、兵を引いても引かなくても、二郎を助けることは難しい。梁中書は、兵を引けば二郎を解放するとは言っていないんだから」
郁里「じゃあ、阮小五くんは・・・殺されちゃうってことですか?」
呉用「郁里・・・」
1:早くどうにかしないと!
2:阮小五くんを助けないんですか?
3:何か考えがあるんですよね?←5UP
郁里「何か考えがあるんですよね?」
呉用「それは・・・」
呉用は泣き笑いのような悲しい表情を浮かべた後、厳しい表情になり、みんなを見回した。
呉用「今回の梁中書攻めは、阮小五を助けるためのものではない」
林冲「なに・・・を・・・?」
呉用「あくまで曾家以外の懸念事項を、あらかじめつぶしておきたかったというだけのことだ」
郁里「呉用・・・さん・・・」
呉用「残念だが・・・阮小五のことは、諦めるしかない」
李俊「テメェっ!ふざけるな!」
李俊が近くにあった机を蹴り飛ばす。
李俊「阮小五のことは諦めろ、だと?あんたは、今まで一緒に戦ってきた仲間を、あっさり見捨てるっていうのか!?」
李俊が呉用に詰め寄る。
李俊「答えろ!あんた、軍師なんだろっ!」
林冲「李俊くん!」
呉用に掴みかかろうとしていた李俊を、林冲が慌てて止める。
呉用「友達ごっこをしているわけではない。阮小五ひとりを救うために、多くの兵の命を犠牲にする可能性がある。梁山泊軍の軍師として、それはできない」
シン、とその場が静まり返る。
林冲「見損なったよ、呉用さん・・・。オレたちは、二郎を助けに行く」
呉用「ならん」
林冲「呉用さんの命令は聞かない。オレはどんなことがあっても、仲間を見捨てるような男にはなりたくない」
呉用「戦が長引けば、都から援軍も来る。そうなれば、挟み撃ちに合い・・・今度、危機に陥るのは我々だぞ」
林冲「それでもかまわない。自分たちの身を守るために、仲間を見捨てるより、仲間を助けに行って死ぬほうがいい」
呉用と林冲がにらみ合う。
郁里は、なんとなく、呉用の心が揺れているのがわかった。
呉用は本心を言っていない・・・感じた。
しかし、みんなの気持ちはヒートアップしていく。
李俊「だいたい、晁蓋サンが亡くなった時点で、コイツには軍師の席からご退場いただけばよかったんだ。阮小五がこんなときに、よりによってコイツの指揮下かよ・・・。くそっ!胸糞わりぃ!!」
李俊の言葉に、呉用の表情がわずかにゆがんだ。
呉用「私の命令が聞けないというのなら・・・みな、勝手にするといい。たとえ、それで梁山泊軍が全滅になるとしても・・・」
李俊「ああ、勝手にやるさ!たとえ死んだとしても、仲間を助けて死ぬならそれでいい。さっき、林冲が言った通りだ」
呉用はみんなの顔を見回し、それから背を向けて、幕舎を出て行った。
郁里「呉用さ・・・・・・っ」
林冲「郁里ちゃん、やめておくんだ」
郁里は出て行く呉用を追いかけようとしたが、林冲に腕を掴まれ、阻まれる。
李俊「あんなやつ、追いかける必要なんてねえよ。仲間を見捨てるだなんて・・・」
林冲「郁里ちゃんが来てから、変わったと思ったけど・・・やっぱり呉用さんは・・・あれが本心だったんだな」
郁里は他のみんなを伺い見た。
郁里「戴宗さん・・・呂方さん・・・」
戴宗「・・・・・・」
呂方「・・・・・・」
二人とも何も言わず、ただ黙って郁里を見つめ返すだけだった。
(みんな、呉用さんが本気であんなことを言ってるって、そう思ってるの・・・?そんなことないよね・・・・・・?)
しかし、その場はすでに呉用はいないものとして、動き始めていた。
林冲「これからの戦いは、呉用さんなしで進めていく。・・・・・・いいですよね、宋江さん」
宋江「・・・・・・ああ」
林冲「じゃあ、改めて作戦を立て直そう」
林冲を中心にして、話が進み始める。
(やっぱり、こんなの・・・おかしいよ・・・・・・!)
郁里はみんなからそっと離れ、静かに幕舎を出た。
幕舎を出ると、少し離れたところに呉用の姿を見つけた。
郁里「呉用さん!」
呉用「郁里・・・」
郁里「呉用さん、みんなのところに戻って・・・。ちゃんと話せば、分かってもらえるはずです」
呉用「何を・・・」
郁里「だって、さっきの言葉・・・本心じゃないんでしょう?」
呉用「全く・・・君という人は・・・」
呉用は仕方なさそうな表情を浮かべたあと、グッと郁里の手首を掴んだ。
そして・・・。
郁里「ぁ・・・・・・っ・・・・・・」
荒々しく、唇が、重ねられた。
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ツライです、呉用さ~ん。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。