※ネタバレしてます!
※選択肢はすべて5UPのものです!
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志信さんの言葉に首を横に振りつつ、ベッドに近づいてくる。
佐治「志信さんとこのお店に恨みを持ってるやつらにやられたんだって?」
絢子「え・・・・・」
佐治「女の顔にこんな傷つけるなんて、最低な奴らだな」
吐き捨てるように十真くんが言った。
十真くんは、志信さんのいろんな事情を知らないんだ・・・・・。
チラリと志信さんのほうを見ると、何も言うなというふうに目で合図を送ってきた。
有馬「あ・・・・・」
その時、志信さんの携帯が鳴った。
有馬「悪い、ちょっと外す」
携帯に出ながら、志信さんが部屋から出て行くと、十真の口調が少しだけ崩れる。
佐治「体は大丈夫なわけ?」
絢子「うん・・・・・できればもう動きたいな、と思っているぐらいなんだけど、志信さんがダメだって・・・・・」
佐治「ふぅん」
十真くんがじっと私を見つめる。
佐治「で?出て行く気になった?」
絢子「えっ・・・・どうして?」
佐治「それだけ痛い目に遭ったら、志信さんのこと嫌になっただろ?」
嫌になる・・・・・?確かに怖かったし、痛かった。
でも・・・・・
絢子「そんなこと・・・・・思わないよ。志信さんのためになるならそれでいいって・・・・・思ったの」
十真くんは、私の言葉に驚いたように目を見開いたあと、ニコリと微笑んだ。
佐治「意外と腹が据わってんだな」
絢子「志信さんと結婚してからかな?前なら逃げ出してたかも」
佐治「体張ってでも・・・か。そういうの、嫌いじゃないんだよな」
絢子「え・・・・・」
不意に十真くんの顔が近づいてきた。
唇と唇が、一瞬触れ合った。
絢子「十真くん・・・・・!?」
佐治「俺も、アンタみたいな人、見つけたいな。でも志信さんのだもんな」
微笑み、十真くんが言った。
そこへ、志信さんが戻ってくる。
有馬「悪かったな、十真・・・・・せっかく来てくれたのに・・・・・絢子?顔、赤くないか?」
絢子「えっそんなことないと思うけど・・・・・」
佐治「じゃあ、俺、仕事あるからそろそろ行くわ」
有馬「ああ、悪いな。忙しいところ」
佐治「ううん、また店にも行くね、志信さん。あっ!絢子さん、あれさ、俺の勝手な嫉妬だから気にしないで」
ひらひらと手を振り、十真くんが出て行く。
有馬「何かあったのか?」
絢子「え?ううん、たぶんからかわれたんだと思う」
有馬「あいつも、まだ子供っぽいところがあるからな」
十真くんにとっても志信さんはお兄さんみたいな存在で。
志信さんにとっても、弟みたいな存在なんだな・・・・・
でも、ひとつ引っかかっていることがある。
絢子「・・・十真くんには何も言っていないんですね?」
有馬「あいつは、自分で芸能人としてのスター街道を掴んだんだ。俺に巻き添え食わせるようなことはしたくない」
大切な人ほど、自分の事情に巻き込みたくない。
なかなかこの人が他人に心を開こうとしないのは、優しさのせいなのかもしれない。
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それから、仕事を休んでいる間・・・・・
有馬「家で暇を持て余しているのも無駄だからな。しばらくは俺の秘書替わりでもしろ」
志信さんのそんな言葉に甘えて、普段の仕事について回ることになった。
志信さんのお仕事はとても忙しい。
朝からはクライアントと打ち合わせや、各店舗の責任者と会談・・・・・
そして夜は経営店に顔を出している。
絢子「よく、体がもちますね」
有馬「まあ・・・・・気力の問題だ」
面倒くさそうに答えつつも、最近はいろんなことを話してくれるようになった気がする。
有馬「さてと・・・・・」
昼間の仕事を終え、車に乗り込むと、志信さんは大きく伸びをした。
有馬「坂井、このあと、分かってるな」
坂井「はい!」
絢子「あれ・・・・・今日はもうお仕事は終わりですよね?」
ここのところ、働きづめだったから、ようやく志信さんが休めると思っていた。
有馬「今日はちょっと約束があるんだ。お前も交えてな」
絢子「私も・・・・・」
向かった先は高級イタリアレストランだった。
そして、そこには・・・・・
絢子「総司さん!」
白金「やあ、絢子さん。・・・・・傷もだいぶよくなったみたいだね?」
絢子「はい!あの時は、ありがとうございました」
白金「俺は大したことは何も。それより、絢子さんにも見せたかったなぁ」
楽しそうに志信さんの顔を見ながら総司さんが笑みを漏らす。
絢子「?なんですか?」
白金「絢子さんがいなくなったときの志信のあわてようをさ・・・・・」
有馬「総司!」
絢子「そんなに慌ててくれたんですか・・・・・」
思わずうれしくなってしまい、志信さんの顔を覗き込んだ。
有馬「そんなことはない。俺がそれぐらいで慌てるはずないだろう」
白金「素直じゃないな」
有馬「総司・・・・・」
圧力をかけるように、低い声で志信さんは総司さんを呼ぶけれど、総司さんは全然気にしていない様子だった。
白金「俺はちょっとうれしかったんだよ。一匹狼だったお前が、誰かを必要としているってことがさ」
穏やかな総司さんの表情に、胸が熱くなった。
志信さんが、私を必要としてくれたということなのだろうか。
契約結婚の相手としてだけでなく・・・・・?
有馬「・・・・・無駄口叩いてないで、さっさとメシ食うぞ!」
絢子「はーい」
怒ったように言いながら、歩き出す志信さん。
そのあとを私と総司さんが続く。
(こんなに幸せな気分を味わうのはいつぶりだろう・・・・・?)
ひと時かもしれない、幸せな時間。
それでも、私はとてもうれしかった。
こんな時間が続けばいい。
そう願ったときだった。
先を歩く志信さんが、前から歩いてくる女性とぶつかった。
それから・・・・・ゆっくりと志信さんの体が前に傾いた。
絢子「え・・・・・志信さん!?」
そのまま、志信さんが倒れた。
白金「志信!」
絢子「志信さん!!」
駆け寄り、その体を抱き起こそうとした。
・・・・・けど、手が滑り、うまくいかない。
絢子「え・・・・・」
自分の手のひらを見、言葉を失う。
私の手を染める、真っ赤な、血。
絢子「いや・・・・・志信さん!いやあ!!」
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本日分、終了~