先日、ころんさんから、
嬉しい、また、とても貴重なメッセージをいただきました。
息子さんは、ぴょん太と全く同じような原因、症状で発症されたと思われます。
私のブログだけでなく、多くの方のブログ、情報を読んでくださっていて、ぴょん太が辿ってきた闘病生活、息子さんの回復へ向かわれている道筋を、理路整然とすばらしくまとめてくださっています。
また、私の知らなかった貴重な情報も教えてくださっています。
とても、参考になる内容だと思いましたので、許可を得て、掲載させていただきたいと思います。
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ぴょん太ママさん,はじめまして。
少し前からブログを読ませていただいていました。感謝申し上げたく,ご連絡いたします。
長くなりますが,お伝えしてもよろしいでしょうか。読んでいただけると幸いです。
現在,高1(16歳)の一人息子が6月に「強烈な眩暈と倦怠感」で倒れ込み,近所の小児科医から「起立性調節障害(重症)」と診断されました。発症以降から現在も全く登校不能です。
息も絶え絶えに倒れこみ,寝たきりに近い毎日で,1日15時間寝たり,昼夜逆転し1日2食以下で,ほぼ流動食しか受け付けず,痩せ衰え,恐怖の日々でした。
ネットを調べまくり,最も理に適った治療は「栄養療法」であろうと感じ,7月から開始(藤川徳美医師を参考にしました)。
けれど当時は「起立性調節障害は,可能な限り朝はちゃんと起きて日光を浴び,散歩など少しでも動いて運動した方がよいらしい」と思って,朝起こし,外出したり散歩したり,何か所も病院巡りを繰り返しました。
今なら,それでさらに悪化したのだと分かります。クラッシュを起こして悪化の一途を辿ることになりました。
自宅の血圧測定器で測ると,仰臥→起立で脈拍+40だったため,体位性頻脈症候群なのだと思い,都内の大学病院,循環器内科のPOTS専門医を受診し「心臓が小さい。体位性頻脈症候群であろう」と言われたのが8月。
特段の治療法というものはないようでしたが,「小麦・乳製品を除去すると軽快する人が一定数いて,見逃せないデータになっている」と言われたこと機に,息子の症状を「炎症,自己免疫疾患」のキーワードで捉え直すようになりました。
8月当時は息子は悪化の一途を辿り廃人のようでしたので,夫も私も通学は到底不可能と判断,そのPOTS専門医からも「数か月で治ることは難しい」と言われたので,早々に学校を退学,通信制に転校しました。以来,現在まで完全自宅療養の日々です。発症後2カ月での即断即決でした。
9月くらいから「息子は起立性調節障害というより,発生機序と病態は慢性疲労症候群だと捉えた方が正確だろう」と理解し,治療の方向性としては「絶対安静・最適な栄養摂取・抗炎症」の方向に向かいました。
「いつも空が見えるから」というサイトはご存知でしょうか,膨大な記事があるため読むのが大変ですが,この方,慢性疲労症候群で10年以上寝たきりから,数年前に北海道に移住され寛解されたようです。このサイトから膨大な知識を得させていただきました。
また三池輝久氏『学校を捨ててみよう!』に大いに知見を得て、深部体温が下がるまでは絶対安静なのだと理解できました。無理に動かせたら即クラッシュで悪化(あるいは再発)必至だと分かりました。
著書は20年前のものですが,当時から自己免疫疾患・炎症の概念と結び付いていたことには驚かされました(この20年,エビデンス得て臨床分野で治療に乗ってないということなのですねぇ・・・)。
POST専門医による「小麦・乳製品除去」の提案は,当初から取り組んでいた栄養療法の方向性とも一致することに納得し,9月から小麦除去したところ,2週間で食欲が回復し,身体が急速に回復に向かいました。7月から始めていた栄養療法(藤川式)の効果に拍車がかかった様子に感じられました。
睡眠薬については三池氏の著書にも書かれていたので躊躇なく使用し,睡眠を安定させて1日3食が実現できるようになりました。食事内容は「抗炎症」を基軸に全面的に見直しました。それまでは,今思えば炭水化物過多ミネラル不足のいわゆる普通に現代的な「手抜き料理」でした。
11月現在,寝込むことはほぼなくなり,本人は眩暈と倦怠感も9割方無くなったと申しています。基本は室内でゆっくり過ごしていますが,自主的に散歩に出かけたり,本が読めるようになり(発症当初は読み書きは全く不可),先日は少し勉強することができましたが,すぐに相当な疲労を感じたようで,継続は出来ていません。易疲労とブレインフォグが強く残っています。
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深部熱が残っていて,体内(脳内)炎症が続いていることを感じます。早く取り除いてあげたいですが,やはり時間がかかりそうな感触です。
まだ10時間睡眠が継続していますし,通常の社会生活は不可能ですが,かの重症状態から5カ月でここまで回復基調に入ったのは相当に速いと感じています。
これには、ぴょん太ママさんのブログ,アマチャンさんのブログ,にじいろ(mikiさん?)のブログに大いに情報をいただき,助けられました。理に適った手段(休息と栄養)に主体的・意欲的に取り組み,その結果,回復された様子が伝わる内容でした。
また,最近はコロナ後遺症からの慢性疲労症候群が話題となり,ヒラハタクリニックの平畑院長が動画をあげてくださっていて「とにかくクラッシュを起こさないこと」と繰り返されていたことが非常に参考になりました。クラッシュを繰り返すと,深部熱は下がることなく症状は慢性化するのだと理解できました。
息子の場合,全日制の高校を早々に退学したのも功を奏したと感じます。
もし,諦めをつけずに学校に残っていたら,今の状態なら進級のために息子を登校させることは確実です。午後からならいけるだろう,1時限・2時限だけなら行けるだろう,せめて保健室登校はできるだろうと,むしろ本人も望んで無理して登校し,すぐに悪化するだろうな・・・と予想できます。
発症直後は,親としてはどうしても慌ててしまい,ザックリとした「起立性調節障害」で括られた概念のもと,子供を起こし動かし,登校させようとするのは,致し方ないことだと思われます。が,幸いなことに,こうした情報(安静第一)を発信してくださった方々のおかげで,早くに気付くことができたと感じています。
「小児慢性疲労症候群」の発生機序に関する医学会からの一般人への情報提供はほぼ皆無であり,「起立性調節障害」という概念だけが提供されている状態が残念です。
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息子が倒れ込んでいたあの地獄の日々は,精神的に狂ってしまいそうでした。朝,起きると「これは悪夢ではなく現実だったのか」と泣き崩れる日々でした。
今は,この病態への理解が深まったので,超ストレスフリーな生活を親子ともに送れています。
慢性疲労症候群のメカニズムは,「交感神経が異様に優位な過覚醒状態にあり,しかも,副交感神経の麻痺状態が同時進行している」ということのようですね。
近年の自律神経理論である「ポリヴェーガル理論」によって理解することができました。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)の発生機序と同一のようですね。ぴょん太ママさんの記事の中でも触れられていましたね。ココに気付いている人はレアだと思いますが,めちゃ大事な本質だと思います。
この病状は,外見は「気力・体力が著しく低下し,弛緩している」と見えるのですが,内部は「超緊張・過覚醒で張りつめたまま」なのですよね。
なので初期対応としては,気力アップさせる方向ではなく,鎮静・リラックスの方向が正しいのですよね(初期対応というか,概念としては一生この方向を配慮すべき,と感じてます。気質・体質が絡む病態のようなので)。
この「過覚醒にして麻痺」というPTSD特有の病態に,死に直面したわけでもない一般人(子ども)が突入する・・・という理由についても,少し分かってきました。
もともと持っているHSP気質・アスペ寄りの脳の持ち主ゆえ,この傾向を遺伝的に有するようですね。
「身体の状態を感じにくい脳構造(=疲労しているのに無理できてしまう脳)」なので,身体側は「これは戦闘状態である」と認識してシャットダウン機構が発現する仕組みのようです。普通はそうなる前に「疲れたわ~」と自制するところ,そうなりにくい脳構造のようですね。私自身もそうだと自覚があります・・・。
受診したPOTS専門医によれば,この病態を発症する人は「POTS体形(痩せ型)・高知能・スモールハート・アレルギー体質」が多く,遺伝的傾向が強いと説明されましたが,これには納得です。
まとめると・・・
「遺伝傾向を有した者が,交感神経を継続して強く稼働させた一連のエピソードを機に,副交感神経シャットダウン機能発現により,体内のアレルギー体質を用いて自己免疫疾患(全身の炎症)を発動させてダウン」
ということが分かってきました(私の中で・笑)。
今月に入ってから,ぴょん太ママさんのブログをしっかり読み直すと,同様の気づきを得ていらっしゃると分かり感激しました。
ちなみに,息子は「睡眠時間を削った猛勉強」を機に発症しました。
これはアスリート界では「オーバートレーニング症候群」として知られているということも,大いに参考になりました。「オーバートレーニング症候群」は「スポーツ界の慢性疲労症候群」とも呼ばれ,アスリート界ではそれなりに知られた病態のようです。症状はぴょん太くんや息子のような起立性重症者(体位性頻脈症候群)とそっくりです。
中高生のハードな部活も危険要素であることを情報として見つけましたが,広く周知されていないようです。
トップアスリートは「無理できてしまう脳構造」だからこそ一流に昇り詰める一方で,オバトレ発症しやすいそうです。
高知能の方などは学習や就労業務において同様であり,高学歴である一方で慢性疲労症候群発症しやすい,という。
この発生機序から逆算すると,回復のために有効な手段は・・・
①発症初期は絶対安静。クラッシュさせない。10時間以上の睡眠確保。「交感神経の鎮静化」
②最適な栄養摂取。「たんぱく質多く,女子は鉄必須,各種ビタミン・ミネラル,中鎖脂肪酸の摂取」
③抗炎症の取り組み。「小麦・乳製品制限あるいは糖質制限など,本人の炎症元の除去。多くの場合アレルギー体質なので,その除去」
④再発防止のため,自身の交感神経優位の傾向を自覚し,ポリヴェーガル理論を参考に副交感神経(腹側迷走神経)の発動を意識する
かな,と思いました。
ぴょん太ママさんがブログで繰り返し情報発信してくださっていることですね。
④については『「今ここ」神経系エクササイズ』『安心のタネ』浅井咲子著がおススメです。
いかに再発防止するかは,今後の彼らの人生に必須の知恵かと思います。
これらは三池輝久氏の著書の中にも数か所で記載があるのですが,具体的に「親がどうしてあげれば?」ということが分かりにくいのですよね。
『学校を捨ててみよう!』というタイトルは,改めて「まさに,そう言いたくなるな」と思わせられます。学校(通常の全日制や,ましてや進学校)にこだわると,症状は長引き慢性化する可能性がありますね。
長くなりました。
発症後は,とにかく検索しまくり調べまくり,多くのブログを読みました。
ぴょん太ママさんのブログも発症直後の頃に読んでいて,強く印象に残ったのは「発症後はひたすら休ませるべきだったと後悔されていた」という点でした。ぴょん太ママさんだけではなく,他の「重症から回復した方々」は口をそろえて「最初にもっと休ませるんだった。好きなだけ寝かせるんだった」という後悔を述べられていると感じ,主人も「みんなこれで後悔してる。これは無視できない。息子を起こすのはやめよう」と言い始めました。
その後,この不可解な病態の解明を求めて,あらゆる知識を得ようと調べ続ける日々。
改めてぴょん太ママさんのブログを読むと,あちこちに貴重な情報が満載であることに気付かされました。
貴重な情報を,率直に書き続けてくださったことに心から感謝申し上げます。
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これからも,引き続きぴょん太くんの回復を祈り続けています。
息子も,じっくりゆっくり,回復の道程を歩んでいけますよう,彼の特性を活かし生きていけるよう,親子ともども学び続けていこうと思っています。
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ころんさん、ありがとうございました(^^)
このメッセージから、
多くの方が、経験、情報を発信し、分かち合ってくださることによって、新たな犠牲を防げるということを実感させていただきました。
また、ころんさんがくださった情報によって、私がまだわかっていない、『ポリヴェーガル理論』やPTSDの発症機序の理解を深めることができたことに、心から感謝致しますm(_ _)m