多忙を極めた昨年12月の半ば。
1通のmailが来た。
「おつかれさん。
1月に東京行くし、F氏もまじえて一緒に飲もう」
携帯電話のバイブレーションをはるかに凌ぐ勢いで僕のハートは震えた。
声にならない声で僕は
ついにこの日が来たか。
と呟いた。
その後何度かmailをし、彼から1/12を指名してきた。
僕の会社はシフト制。
休み申告をすれば週末の忙しい時でもいつでも休むことはできる。
もちろん強靭なモラリストのハートを持てば、の話である。
その当時、すでに休み申告の締め切りは過ぎていた。
通常の友人となら間違いなく、休み取れなかったからまたの機会に…となっていただろう。
だが今回は相手が相手だ。
甲子園の決勝で15回まで投げ抜き、引き分け再試合の翌日も投げた彼らのように。
自分が戦わなければいけないという使命感、期待感が僕を強引に休みを取らせた。
そう。
自分が楽しみだからだけではない。
全国に散らばった塩メン、そして僕らを愛してくれている塩友のみんなのためにも。
そんなこんなで迎えた12日。
以前書いたが時間だけ指定されており、待ち合わせ場所は教えてくれていなかった。
まぁ僕もF氏もハチ公前になるだろうことは予感してたがな。
僕とF氏は待ち合わせ場所に到着する前に軽い打ち合わせをするために先に会った。
塩ブログはまるで存在していないかのごとく触れない。
OTNの話を1秒でも引き出したいがために基本的に自分の話はしない。
遠慮無しで尋問する。
軽くこんな感じの意思統一をした。
僕らは5分前位に到着した。
ドクン
ドクン
1秒ごとに心臓の息吹が大きくなる。
周りを見渡す。
カラスは妙にざわつき始め、
犬が吠えだす。
まるで大地震の直前、動物たちが奇怪な行動をとるかの如く。
ドクン
ドクン
高鳴る鼓動は
渋谷の喧騒に共鳴しているようだった。
落ち着け・・・
落ち着け。
何度そう自分に言い聞かせたことだろうか。
怖くない。
怖くない。
ものの数分の間に10人弱のキャッチに声を掛けられたが僕の耳に入り込まない。
まるで幕末の日本が諸外国を鎖国するかのごとく。
僕は平常心ではいられなかった。
隣にいるF氏に声をかけようとした。
その時である。
「すいません。
ワタクシ○○というものですが今、
エロくないのにエロく聞こえる言葉を集めているんですが協力していただけませんか?」
F氏は協力していた。
僕の緊張の糸は一気にゆるまった。
良くも悪くもなんだか気持ちが落ち着いた。
春の日差しのように柔らかく僕はF氏の姿を眺めていた。
そしてF氏は「後ろ向きでも大丈夫だよ」
と言う言葉を協力をお願いした方に提供していた。
本当につまらん男だな。
そう心でつぶやいたことは彼には内緒だ。
そう思ったと同時に体中から
ジワリと粘着質の汗が湧きだしてきた。
後ろに気配を感じ、勢いよく振り返ったと同時に、声を掛けられた。
つづく。
占い師G