ようやく主治医のS先生とのご対面です。


その日は今まで検査した結果と今後の方針を話すというので、家族一緒にという指示でした。


診察は15:30からだったので、夫に半日仕事を休んでもらい、次男を連れて病院に向かいました。


診察室前で待っていると、中待ち合い室へ入るよう指示がでました。


そして、いよいよ診察室へ入りました。


中にはスラッとした女性の先生が立っていました。
S先生です。


私に続き夫が入ろうとしたら挨拶もそこそこに「触診するからご主人は外で待っていてください。」と夫は中待ち合い室へ逆戻り。

私は服を脱いでベッドに横になるよう言われました。

横になるとおもむろに何もないはずの右胸を触りながらサインぺンで○を付けはじめました。


これは、もしかして…、右にも何かある?とすごく嫌な予感がしました。


続いて、癌のある方の左胸に大きめの○と小さめの○を書いていきました。


そして写真を何枚か取って、「いいですよ。服を着て下さい。」と言われ、先生が再び夫を中に呼び寄せました。


「休暇で休んでいて初診みれなくてすみません。○○先生(←私が定期検診を受けていてS先生を紹介してくれた先生)から連絡入ってます。宜しくお願いします。」と言ったあとに、


「あのですね。癌が右にも見つかりました。両側乳がんです。」といきなり告げられました。


私も夫も絶句です。


両方って!?


左だけでなく右も…。


涙が溢れてきました。
癌と言われてから何回泣いたのか…。


先生は続けて、「ただ右は9mmと小さいので、非浸潤癌だと思います。」


そして、「だから部分切除でいけると思います。」と。


「部分切除だと放射線治療もセットですよね?」と私が尋ねると、


「術後の病理で取りきれたと判断された場合は省略できる場合もあります。」と先生は言いました。


それと左胸の組織をもう一度検査したところ、Ki67が30%から45%に上がったと聞かされ、またまたショックをうけました。


おまけに左胸には腫瘍が2個見つかったので、全摘確実とのこと。

そしてきわめつけに、前回行った左腋窩リンパ節の細胞診の結果がでたけど、「判定不能」となったので、右胸のしこりの組織診の時に再度やり直しと言うのです。


思わず、
「前回の検査、ものすごく痛くてもう一度はきついです。やるなら麻酔してください!」とお願いすると、


先生は「分かりました。どうせ右の組織診で麻酔しますから。」と言って、カルテに大きな文字で、「麻酔有り」と記入していました。


ただ、検査をするとなると当初予定していた手術日はどうなるの?と思い尋ねると、


「手術日は延期です。検査終わって、右胸の病理結果が出てからなので、とりあえず手術は12月19日を押さえておきます。前日18日入院、両側だから退院は10日後の28日予定です。」とのこと。


夫が「癌が見つかってから2ヶ月経ってます。治療が遅れることによって、他に転移とか考えられませんか?」と心配そうに尋ねると、


先生は、「この短期間で悪化は考えられません。ステージはⅡbで、これ以上はあがりませんから、大丈夫です。」ときっぱりと言い切ってくれました。


さばさばした、ずばずば言う先生だけど、直感でなんか信頼できるなと思いました。
S先生にお任せしようと心に決めました。

ちなみに私の右の9ミリの乳がんを見つけてくれたのは、エコー検査をしてくれた怖い技師さんだったそうです。

右にもしこりがあると報告があったので、MRIもよく確認したところ、やはり右にも癌が見つかったと先生は言っていました。

夫は「右の癌が見つかって良かったなー。」と何度も何度も呟いていました。


転院すること正直迷いましたが、もし転院せず前医であのまま手術を受けていたら、右胸の癌は見つからなかったかもしれません。


両側に乳がんがあることを発見してくれて、やっぱり癌専門の病院へ来て良かったと思いました。

でも、両側の乳がんは全くの想定外で、気持ちの建て直しがしばらく難しく、現在もまだ受容できていません。