【脚本】アントン・チェーホフ(原作)、永井愛(脚色)
【演出】永井愛
【出演】溝端淳平、門脇麦、玉置玲央、亀田佳明、大西礼芳、加治将樹、岡田地平、ホリユウキ、水野あや、石井愃一、佐藤誓
ニ兎社は、空気シリーズも、パートタイマー・秋子も面白かったですが、又違う感じの面白さでした。
チェーホフが24歳の時に書いた長編ミステリー『狩場の悲劇」を土台に永井愛さんが書き演出したこの作品は、ストーリーの面白さ、劇中劇の面白さ、永井さんのチェーホフへのオマージュをこめたどんで返しと、演劇をみた幸せでいっぱいになりました。
観て、勢いで戯曲を買ってしまってました。
幕間に、名前が横文字だからよくわからなくなった難しいね、(そんなことはないと思いますが)と話していた後ろの席の方々も、終演後は面白かったねー!と、終わってロビーで楽しかったという声を耳にし笑顔の人が多かった作品でした。
このあとかなり多くの地で、上演されるのですね。 ラストの所沢は1月中旬の様です。
全く前情報をいれずにに観た方が良いのでこれから観る予定のかたは、
この先は絶対読まないでください。
深夜、編集長(亀田佳明)の仕事部屋に、3ヶ月前に持ち込みした小説がどうだったかを聞きにくる元予審判事のセリョージャ(溝端淳平)。
その小説が「狩場の悲劇」という題名なのですが、それはセリョージャの実体験を元に書いたらしい。
編集長はまだ読んでないと追い返そうとするのですが、おかまいなしに、突然「狩場の悲劇」の登場人物が現れ物語が展開されていきます。どのまでが永井さんのオリジナルなのかはわかりませんが、編集長がずっと舞台上にいるという設定が、編集長の視点が加わり、俯瞰してみる面白さをプラスしています。
劇中劇の中に、編集者が入れる突っ込みや種明かしも面白いです。
編集長はセリョージョにしか見えないという設定で、他の人には犬に見えていたりもします。突然犬のふりをする編集長(笑)
オーレニカ(原田樹里)という森番の娘と、セルゲイ、セルゲイ知人の伯爵(玉置玲央)、伯爵邸の管理人(佐藤誓)が絡んだ愛憎劇です。
身分だったり、恋の駆け引きだったり、殺人事件が起きミステリーに。喜劇で悲劇です。
そして最後20分ぐらいが見事で、このミステリーの犯人がセリョージャであることを編集長が種明かしする、までは予想できたのですが、
編集者はチェーホフだったというドンデン返し。
登場人物が、皆出出てきて、チェーホフに文句を言い出す始末。
更にこれは作家チェーホフが見ていた夢であり、チェーホフは桜の園を執筆中であったという。
チェーホフもびっくり?なんて思いなが、このラストやられました。
編集長、チェーホフに亀田佳明さんを配役したところがはまり見事でした。
又ルックスも良く、知性もあるのに人としてという所が欠けているセリョージャ。溝端さんが色気を醸し出しながら演じていました。(何作か彼の舞台を観ているのですが、正直こんなに印象に残ったのは初めて)
権力も財力もあるのに人生に希望を持っていない伯爵を玉置玲央さんが。だめな面が愛らしい。
佐藤誓さんの管理人は気の毒な報われない役。使用人たちは、働いても報われない身分制度がある理不尽さが描かれいました。
オーレ二カは門脇麦さんが、体調不良で降板となり、原田樹里さんが。
身分もお金もない美しい女性が、結婚以外に手段がなく結婚を道具に3人の男を手玉にとりのしあがっていく。妖精のようだった彼女が貴族社会の中に堕落し病的になっていく。
どんどん変わっていく難しい役をよく短期間でここまで。
後半はこの役が変わるので又印象も違ってくるかと思います。
小劇場芝居、当たり続きだわ。
