ある年の師走。慌ただしい中、1本の電話があった。
区役所の保育課の方からで、
「1月から保育園の入園が決まりました。入園先は◯◯保育園です。
 つきましては、保育園の方に電話して直接お話ください」
と、それはそれは簡潔かつ事務的なご連絡をいただいた。

この一報はまさに晴天の霹靂で、本来なら念願の保育園!と喜ぶところなのだが
こんなに早く決まってしまうとは…!とショックを受けた母。
申し込んでおいてなんだが、けっこう落ち込んだ。 
それにはちょっとした理由があるのだ。

もともと、年少クラスに上がる4月からの入園を希望していた父母。
せめて3月までは療育だけに集中させたかったのである。
しかし通所している療育の先生によると「障害児枠」はすぐ埋まってしまうので
躊躇せず早めに申請をした方がいいとのことだった。
第1希望の園は障害者枠が空いていたものの、定員自体はいっぱいで4月入園まで待つ必要があった。 
第2希望も同様に、どのみち申請したところで入園は4月になるだろうとタカを括っていた母。

それなのに申請が通ってしまった!
それも、第6希望…

申請書の希望枠はできるだけ埋めた方がいい、そんなアドバイスから第6希望まで書いた母。
第4希望からは検討の対象にすら入れていなかったものの、

空欄を埋めるべく園の名を書いただけなので実のところ見学すら行っていなかった。
とりあえず自宅から近いので選んだまでで。
しかも園舎も園庭もない、商業ビルのワンフロアを保育園仕様にした

最近増えつつある『株式会社』運営の保育園。
正直、『株式会社』が母体の保育園にいいイメージを持っていなかった母。
フランチャイズの保育園で園長をしている知人がいた。
職を転々としてきたその男は少しチャラいところがあり、何度目かの失職を機に、
「サラリーマンは嫌だし儲かるはず」と保育園事業に興味を持ったらしい。
子どもが好きな訳でもなく、もちろん子育ても保育士経験もなく。
そんな不純な動機でも準備金を本部に払えば保育園を経営できてしまうということに
嫌悪感を抱いたものだった。

そんなわけで突然の知らせに落胆。
辞退する、という選択肢もあるようだが次回の選考で不利になるらしく。
しばらく、どよよ〜ん、とした気持ちで過ごした。
HPを見てみると、都内で何箇所も小規模保育園を運営している会社のようだ。
モンテッソーリ・英語・ダンス・アートなど、
英才教育に熱心な親心をくすぐる文言が並んでいる。
ますます、どよよ〜ん。
そんなお飾りみたいな園にジョジョを任せたくない!
偏見いっぱいで申し訳ないが、当時の素直な気持ちであった。
それでも重い腰を上げ、保育園に電話をしてみる。
40代くらいの男性の園長さんで、これまた偏見ですがどよよ〜ん。
先の知人の顔が浮かんだ母である。

入園前の面談があるようで、数日後に予約を入れた。
断る理由を探すつもりだったのかもしれない。
さて、面談はいかに。
保育園生活はスタートできるのか?