年長の3学期、保育園で最後の発表会があった。
最終学年にもなると参加する演目が3つもあり、ジョジョには大仕事である。

毎度のことながら楽しみ3割、不安7割の母。
みんなのレベルに合わせた演目はいずれも長めで難易度が高く
前年の発表会では途中で飽きて床に突っ伏してしまったジョジョ。
大変なのは隣にぴったり付いてサポートする先生だ。
ダンスでは手取り足取りジョジョを動かし、劇では立ち位置から離れさせまいとジョジョを繋ぎ止める。
奮闘するサポートの先生には感謝の気持ちはもちろんのこと、申し訳なさの方が大きい。

さてこの年の出し物。
1  ミッキーマウスマーチで踊るパラパラ

2  手話をしながら歌う合唱

3  劇『ピノキオ』

 

…………………!?!?

 

母の幼稚園時代を思い返しても、こんな難しいことやらされた記憶がない。

最近の保育園児ってこんなにレベルが高いのか…汗
とりあえず笑顔で参加することがジョジョに課された最大の目標であることは言うまでもない。
 

さて6歳になり「緊張」というものを覚えたらしく、硬い表情で登場したジョジョ。
当然のごとくパラパラも手話もできないが、みんなのダンスや歌に合わせて一生懸命パチパチパチ。

笑顔で終えられただけで、我が家にとっては万々歳だった。
そして迎える最大の難関、ピノキオ劇。

絵本1冊分のストーリーを舞台化しているわけで、これまでになく長丁場ではないか。

さすがに集中力を使い果たしたジョジョ、目の前で踊るお友達の帽子を引っ張ったり、

もう知らん、とばかりに床に座り込んでいる。

どうしたって悪目立ちしてしまう息子の姿に、何度となく肝を冷やした母。

せめて劇くらい辞退させて貰えばよかった…などと頭の片隅で後悔しつつ
ひたすら無事に終わることを願うばかりの時間となった。

そこに我が子の晴れ舞台を楽しむ余裕など微塵もない。

保育園に在籍して3年ちょっと、最後まで居心地の悪さは拭えなかった。
クラス内ですら挨拶しない保護者間のドライな風潮もあり、いつもアウェー感を抱いてきた母。
先生方とは深い信頼関係を築けたが、こういったイベント時にはどうしても窮屈な思いをする。


一方、達成感からしばらく興奮気味だったジョジョ。
1ヶ月間の練習を乗り越え、ジョジョなりに頑張ってきたのだ。
そんなジョジョの成長を、本当はもっとおおらかな気持ちで味わいたかった…というのが本音である。
周りの目など気にせず、心から目の前のかけがえのない時間を楽しみたかった。


保育園ではいつも何事もないかのように朗らかに笑い、むしろ堂々とした母親を演じてきた自負はある。
障害のある子を育てる親だからこそ、凛としていようと自分に言い聞かせてきた。
「障害者の家族=かわいそう、悲惨」みたいな世間のイメージを
当事者の一人として全身全霊ではね退けたいと思ってきた。
しかしその役割ももうすぐ終わり。
終わりというより、一時休戦か。
支援学校に入学したら、今より肩の力を抜いて等身大の「母」を楽しめるだろうか…