今日、自転車屋に行って今度の旅で必要なパーツを注文した。
ひさしぶりにその自転車屋の「おやじ」と話をした。
…本当は「おやじ」じゃなくて「マネージャー」と呼ばないといけない。
まして「社長」なんて呼ぶと殺される、、、らしい…。
正直、旅の話を沢山したかったんだけど、あまり会話が弾まなかった。
僕が「南北アメリカを縦断することにしましたっ!」と言っても、
マネージャーは「そうか…パーツはすぐ入ると思うよ……(低音)」
としか言わない。会話がプッツリ切れてしまった。
その沈黙を破るようにマネージャが、
「もう、普通の生活は出来んよなぁ…」とポツリと言った。
マネージャは何人もの国体選手や日本代表選手の面倒を見てきた。
自転車競技の選手だけでなく、世界中を7年間旅したチャリダー
石田ゆうすけさんもこの自転車屋で準備を整えて日本を後にした。
マネージャは自転車の生き字引のような人なのだ。
僕のようなチャリダーを何人も見てきているにちがいない。
すごく痛くて重い言葉だった。
もう、普通の生活は出来んよなぁ…
…僕は本当に返す言葉もなかった。
僕はただ、だらしなく引きつった笑顔を浮かべていたと思う。
僕は一番気になっていた事をピンポイントで指摘されてしまったのだ。
でも、なんだか「反骨心」のようなものが僕の心にフツフツと湧いてきた。
今度の旅を終えたら、かならずちゃんとした生活をおくってやるっ、と思った。
マネージャが何を思ってその言葉を言ったのか分からないけど、
もやもやとしていた今回の旅に一つの目標ができた。
『目標其の一:旅を終えたら、ちゃんとした仕事に就くこと』
* * *
自転車屋に行った後はジムに行って筋トレをした。
いつもよりも気合が入った。沢山汗をかいた。
ジムから実家に帰る夕焼けが綺麗だった。
日の入りが7時を過ぎる時期になっていたことに気が付いた。
僕が気付かない間でも地球はちゃんと公転を続けているらしい。
いつもの夕焼けなのに、すごくしんみりしてしまった。
何年か先に僕はこんな夕日をどんな気持ちでみるのだろう?