『南へ』の冒頭より
年末に野田知佑さんの『新・放浪記2 南へ』を読みました。東京以南に位置する鹿児島、沖永良部島、フィジー、オーストラリア、ニュージーランドなどをカヌーで旅する物語です。野田さんといえばユーコンなどの荒涼とした北の国を旅するイメージがあったので新鮮でした(この本でもユーコンの話はありますけど)。野田さんのノンフィクションはいつ読んでも面白い。サクサク読める。最近、旅に関係した本は野田さんの本ばっかり読んでる気がする…。
海外の川の話を読んでる限りは楽しい本なんだけど、野田さんが日本の川を語るときは急に文章のトーンが暗くなる。日本の川はもはや排水溝になりつつあるらしい。周りを見回しても、たしかにそうだなと思う。政治家や官僚がダムや護岸工事の計画を色々な理由(治水とか農業とか)をつけて採択して建設会社に発注し、儲かる建設会社は選挙の時その政治家に投票する(官僚には利権)。後には自治体の借金と元には簡単に戻せない環境破壊だけが残る。なんて簡単でマヌケな図式なんだろう。僕達には何のメリットもない。そろそろ僕達も声を上げないといけないときなのかもしれない、と思ったりしました。あれ?ぜんぜん旅の話じゃないじゃん。よく考えるとこれは日本の環境を憂う本だ。海外の美しい川の話を挿入することで日本の破壊されつつある川の実情を浮き彫りにしているんだろうなぁ~。読み終わってちょっと悲しくなりました。

著者: 野田 知佑
タイトル: 南へ