前から見たいなと思いつつ、先延ばしになっていたこの映画。
ポスターがむっちゃかっこいい。
赤地にモノクロ写真、横たわった女の子に馬乗りになり、カメラを向ける男。
邦題は「欲望」
確かにこの映画は欲望に溢れている。
まず最初の方のシーン。
主人公はカメラマンのトーマス。
売れているからと言って、モデルの女の子たちに超タカビーな態度。スタジオでポーズを取らせたまま、そのままずっと目をつぶっておけと命令したと思ったら、そのまま外出してしまう。
盗撮をして、フィルムを取り返しに来た女に、散々やきもきさせた後、一緒にベットを共にする。
また、モデル志望の二人の女の子には、最初はうざいから立ち去れといいながら、家に訪ねて来た時、彼女らが勝手にクロゼットのモデルの衣装を着合わせてるのを見つけるや、無理やり服を剥ぎ、スタジオのバック紙の上で押し倒したかと思うと、そのまま二人と戯れる…。
ある意味男の夢ですね。
仕事はできる、金はある、女には興味がなくなったと言えるほど、女が寄ってくる。
主人公を演じるデビット.ヘミングスは顔つきがややシニカルではあるが、一見線の細そうな優男なだけに、傲岸不遜なキャラが引きたっている。
今時こんな男がいたら、いたるところからパッシングを浴びそうだが、それだけに魅力的なのだ。
映画は、そんな彼の一日の様子が、ロンドンの街を背景にスタイリッシュに描かれている。
ストーリー自体に起伏は少なく、彼が事件に巻き込まれたり、身の危険を感じたりといったことはない。
しかし、公園で不倫と思わしき男女が、走ったり踊ったり、抱き合ったりしている様子を盗撮する。それに気づいた女の子がフィルムを渡してと懇願するところが、この映画の物語といえるもの。
フィルムを巡って女が訪ねて来たのは先述した通りで、フィルムの行く末がもう一つの話というところです。
結局女には偽のフィルムを渡し、トーマスは二人の様子が映ったフィルムを現像する。
そこで表題にあるblow up(引き伸ばし)となるわけです。
カメラマンの本能で気になるところを見つけた彼は、そこを引き伸ばし引き伸ばし現像して、殺人と思わしき痕跡を見つけてしまうのだ。
この辺りはまさに、時代、である。
今時、写真の引き伸ばしなどしなくても、パソコン上で操作すれば済む話だもんね。
しかし、人によっては助長なこの件り、気になった部分を接写しては拡大現像し、を繰り返すうちに、うっすらと心霊写真のように、木に紛れて銃口を向ける男が浮かび上がるシーンはサスペンスだった。
そして、これをしゃぶパーティに溺れている雑誌の編集者に見せに行くシーン、その途中で、ヤードバーズのライブに紛れてしまうシーンなど、ロンドンのある情景を切り取ってはいるのだが、トーマスには何事もなく、一日が終わるのだ。
観客を裏切ってるともいえるし、期待通りともいえるし、これぞスタイリッシュというところか!?