この題を見た人は、

随分変わった題と思うでしょうが、

なるほどと合点がゆくはずです。


というのは古い思想や、

カビの生えた文化を

後生大事に有り難がっていて、

捨て切れない人の事をいうものです。


ご承知の通り人間というものは

どうも先祖代々守って来た伝統や習慣から、

なかなか抜け切れないものである事は

誰も知る通りですが、


こういう人こそ

墳墓の奴隷といいたいのです。


日進月歩の今日

そういう思想の持ち主こそ、

時世後れになるのは事実がよく示しています。


言うまでもなく

今日世界をリードしている米国の、

アノ繁栄と国力の充実振りは、

実に世紀の偉観といっても良いでしょう。


そうしてこの原因こそ、

同国民の卓越した進取的思想の為であって

新しい今迄のものより

優れているものでさえあれば、

何物でも容赦なく

取り入れるという気概です。


これに反し英国の方は

アノ根強い保守的思想が災いしていて、

それを誇りとしているくらいです。


ロンドンをみても

古典的美しさは誠に結構ですが、

そうかといって新時代の都市美は

大いに欠けているようにみても、

現代英国の実体がよく表れています。


同国国連にしても、つい一世紀前頃の

あの隆々たる姿を思えば、

まったく隔世の感かあります。


世界七つの海を我が物とし

多くの植民地を領有し、

働かずして

莫大な収入が入って来るのですから

大したものでした。


実に今昔の感に堪えないのは

同国民ばかりではありません。


二つの例を挙げてみても分かる通り、

墳墓に支配されている国と

されていない国との違いさは、

あまりにハッキリしています。


その他の国としては、

西洋ではエジプト、ギリシャ、ペルシャ、スペイン、

ポルトガル、


東洋ではインド、中国、朝鮮等も

同様の運命を辿って来ました。


この原因こそ

華やかであった時代の夢醒めやらず、

それが進取的観念の邪魔になって、


つい今日にように弱国化したのですから、

この墳墓の奴隷観念が

いかに災いするものであるかは、

このような歴史が物語っいます。


墳墓に支配されない主義のもとに

邁進していかなければならないという事です。


konishi.M