今回は「学習塾の現場から見た中学受験の現実とその価値」というテーマで話をしていきます。

 

自分が学習塾に勤めているので、中学受験生が多く在籍しているんですけれども、私が考える中学受験についてお話ししようと思います。

 

結論から言うと、子供がメンタル的にやばそうで、親御さんの財力が厳しい場合は、迷わずやめた方がいいと思います。

 

こんなことを言うと、通われている親御さんや生徒さんに顔向けができない感はありますが、正直、そんな状態ならやめた方がいいと思います。

 

中学受験のメリットとして一般的に言われているのは、高校受験がないので多感な思春期を伸び伸び過ごせる、大学に向けてじっくり6年間準備ができる、困難に負けない力や精神力を養える、というものです。

 

しかし、これらのメリットが本当にそうなのかについてお話しします。

 

まず、高校受験がないので多感な思春期を伸び伸び過ごせるという点ですが、実際にはそんな感じが全然しないんですよね。

 

自分は九州にいるので、九州の中高一貫校に通う生徒さんを多く見ていますが、確かに大学受験においては有利かもしれません。

 

カリキュラムが早く進むので、公立高校や私立高校に入る子たちよりも総合演習を積む時間があるからです。

 

でも、その分カリキュラムの進度が早く、課題も多いため、ついていくのがやっとで、タスクをこなすのが結構きついんです。ハードなんですよ。

 

だから、高校受験がないからといって、中2中3の時期をゆっくり伸び伸び過ごせるわけではなく、課題でヒーヒー言っているわけです。

 

それから、大学受験に有利だといっても、そろそろ学歴にこだわる時代ではなくなりつつありますよね。

 

いい大学に行ったからといって、何があるのかという感じです。

 

それよりも、生涯において何を学んできたかが重要になりつつある時代に、そこまで学歴を求める必要があるのかという感じもします。

 

中学受験の大きなデメリットは、自由時間が減ることです。自分の塾は個別指導塾ですが、多くの中学受験生は集団塾にも通っています。

 

週3、週4で集団塾に拘束され、学校が終わってから週1、週2は個別指導塾に通う子が大半です。

 

そうなると、休みがほとんどなく、唯一の休みの日も宿題をひたすらやっているわけです。学校プラス勉強漬けの日々を過ごすことになります。

 

早い頃からそんな日々を過ごすと、自由時間なんてほとんどないですよね。きついと思います。

 

親御さんが強制的にさせている場合、子供は抜け道を見つけようとします。勉強しているフリをしてサボることも多いです。

 

そうなると、親御さんが怒り、子供がふてくされるという構図ができ上がります。

 

自由時間が減り、いろんな興味関心を広げる小学校の時期に勉強漬けにすると、興味関心がない状態になってしまう子もいます。

 

親御さんが教育熱心で勉強ばかりさせると、自分の好きなことやりたいことがわからなくなります。

 

中学校に入っても趣味がなく、受動的娯楽、つまりYouTubeやNetflixの視聴が趣味になってしまうこともあります。

 

本来、小学校時代は多感な時期なので、いろんなことに興味関心を持つ時期です。幼稚園から小学校の時期に勉強ばかりさせられると、興味関心を持つタイミングがなくなってしまいます。それはきついと思います。

 

また、メンタルがやむ子もいます。ひたすら勉強しているけれども成績が上がらない、もう嫌だとなり、メンタルがやられてしまうんです。

 

中には、塾に行きたくても体が動かなくて来れない子もいました。そこまでして勉強する必要があるのか、メンタルがやんだら何もできません。

 

あと、財力の問題もあります。集団塾に通うだけでもかなりのお金がかかります。

 

自分は庶民なので、集団塾に通うだけでもコストが高いです。

 

普通の授業料プラス、夏休みや春休み、冬休みには講習がかかるので、バカになりません。中学受験は学校の勉強だけではなく、塾なしではきついと思います。

 

親御さんが一から教えるのも現実的ではないですし、親御さんも学ばなければならないので厳しいです。財力がきつくて集団塾に通えないなら、やめた方がいいです。

 

自分の娘には1ミリも中学受験をさせたいとは思わないですね。

 

いろんな受験生に囲まれている生活をしているので、公立小学校や公立中学校でのびのび育つ方がいいかなと思います。

 

中学受験を考えている人は、子供が本当に望んでいて、財力もある程度あって、子供の意思や意欲に任せられるのであれば、中学受験も選択肢ですが、無理にさせる必要はないと思います。

 

参考になれば嬉しいです。最後までお読みいただきありがとうございました。それでは良い一日をお過ごしください。