~ブログ版44号~
~ストレスとの付き合い方を知り自分らしい生活を~
はじめまして。
医療福祉相談室所属、公認心理師の松岡みずほです。
これまでは精神科領域の心理師として従事しておりました。本年5月より当院にて妊産婦さんのメンタルヘルスのフォローをさせていただいております。本日は自己紹介もかねて、ストレスとの付き合い方についてお話したいと思います。
妊娠は大変喜ばしいことであり、周囲のかたがたからの祝福も多く受けることと思われます。一方で、「自分はきちんと子育てができるのだろうか」「子供に何かあったらどうしよう」等々、親になることへの不安や緊張、責任も生じるでしょう。加えて、家庭や社会でのご自身の役割の変化やご家族との関係性の変化といった多くの感情や出来事を一度に体験する機会ともなり得ます。
こうした日常的な出来事や、対人関係、熱さや寒さ、騒音、化学物質といった外的な刺激から影響を受けてこころやからだに様々な反応が現れることをストレス反応といいます。ストレス反応には不安や緊張の増加といったこころへの反応、頭痛や動悸、眠れないといったからだへの反応、飲酒や喫煙の増加といった行動への反応の主な3つの分野が想定されます。
ストレス反応が強すぎると、思うような生活を送ることが難しくなってしまいます。そういう意味では「やっかいなもの」と感じることがあるでしょう。しかし一方で、不安や緊張といった感情は適度な強さであれば解消に向けた行動を起こすきっかけとなり、良いパフォーマンスを発揮する源となることがあります。また、こういった感情は一般的に良くないものという印象をもたれがちですが、動物として本来備わっているもの=抱くのが自然なものでもあります。ですから、適度な量に調整することが可能であれば付き合いやすくなるのです。では、どうすると良いかです。
ストレス反応を適度な量に調整し、上手に付き合うためのコツとしては、リラクセーション、環境の調整、ソーシャルサポート、自身の考え方のクセを把握し調整するといった方法があげられます。今回ですべてをご説明することは難しいですので、その中から2つだけ触れたいと思います。
環境の調整は引っ越しや旅行といった大掛かりなものだけでなく、自室に好きな絵ハガキを飾る、枕の位置を変えるといった比較的取り組みやすいものも含まれます。目にしていたものが変化すれば、抱く感情やその後の行動にも変化があらわれやすくなり、結果として気分が和らぐきっかけが作りやすくなります。また、周囲の音で気が散る場合はイヤホンをして過ごすことも一つです。このように自分の身の周りに働きかけることが環境調整です。ソーシャルサポートとは、困った時に助けとなってくれる人や場所、道具等を表します。人の場合は、実際に都合が合わずにサポートを受けられなかったとしても、「あの人に相談するとアイデアがもらえるかもしれない」と期待するだけでストレス反応は和らぐことが知られています。
ちなみに私自身がストレス反応を和らげるのに行っている方法の例としては、信頼できる人に話を実際に聴いてもらうことや、聴いてもらおうと思うこと、海を眺めることがあげられます。
このようにストレスとの付き合い方を知り、日常生活のかじ取りがしやすくなれるよう、一緒に作戦会議を行っていくのが私の役割の1つであると考えています。
少しでも多くのかたが、ご自分らしい妊娠期間を過ごすことができ、産後の育児生活をスムーズにスタートできるよう、努めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。