今シリーズの第5回です。
今回は「頭をてっぺんを上に向ける」ことの効果として「ケガ予防・健康促進・スタイル改善」について話をしていきたいと思います。いやぁ、シリーズ第5回まで書いて、ようやくタイトル回収できるとこまで来ました(笑)

まず「ケガ予防」について。
これまでも述べたように「頭をてっぺんに向ける」ことで重力に逆らわない自然体の姿勢となり、その結果首肩や腰椎に余計な負担をかけることを減らすことができるようになります。この時点で首・肩・腰の疲労や過負荷の蓄積を減らせるので、不自然な体勢によって起こるケガの予防になります。

また、こうした直接的部分についてだけでなく、体全体のケガ予防にもなります。そもそもケガをするときというのは、外から衝撃を受けたのでない限り、自分が本来の可動域を越えた動きをしてしまったか、耐久力の上限を超える負荷をかけてしまったときです。そしてそうなることが多い場面とは、広い意味で「体のバランスを崩したとき」です。


転倒による手首や足首のケガなどは、まさにこれです。ぎっくり腰や肉離れなども、意図的に筋トレなどで高負荷をかけたのでもない限りは、体全体のバランスが崩れた際に重さや出力に対して体の一部分に負荷が集中して起こるものです。

重力に逆らわない自然体に近ければ近いほど、重さや衝撃を足から地面に流すことができるのに対し、重力に逆らった姿勢をとると重さや衝撃が流れにくくなってどこかに負荷がかかり、ケガになるわけです。イメージ的には電気や川の流れが一部で滞ったりせき止められたりして負荷が大きくなり、ショートや決壊に繋がるような感じです。
  

日常生活であれ、運動場面であれ、「頭のてっぺんを上に向ける=首や腰椎を曲げない&
前傾が必要な際は股関節を動かす」動きを基本姿勢として心掛けることで、バランスを崩す確率を減らし、バランスが崩れても重力に逆らわず衝撃や負荷を外に流す姿勢に近づけることができます。なので、「頭のてっぺんを上に向ける=ケガ予防」となるわけです。


次に「健康促進」について。
パフォーマンスが向上してケガ予防にもなれば、それだけ間接的に健康促進とも言えるのですが、直接的な効果としては首=頸椎への負担を減らすことで血管や神経への圧迫が減ることが挙げられます。

慢性的に悪い姿勢をとり続けると首肩に負担がかかり、血管や神経が圧迫されます。その結果、脳への血流が悪くなって脳の活動力が低下し、頸椎は圧迫されて痛みや神経伝達の不具合としてそれが表れます。また、首に負荷がかかればその土台である肩にも負荷がかかってひどい肩こりとなり、身体面では頭痛や吐き気、心理面ではイライラや抑鬱状態が引き起こされます。

首には血管や神経だけでなく気道や食道もあるので、姿勢が悪ければ外から酸素を取り入れにくくなったり、食事も通りにくくなって食欲が減退して、当然これらも様々な体調不良の原因となります。

こうしたことは首肩だけでなく、腰に関しても同じようなことが言えます。腰椎部分の姿勢が悪くて神経が圧迫されれば、ヘルニアなどのように神経系の痛みとして不具合が表れます。
また、内臓系にも影響があり、例えば胃下垂などは姿勢が悪いことで胃を支える骨格や筋肉がズレて胃が下に下がることが原因の一つとなっています。

当然、これは胃だけでなくすべての内臓に対しても言えます。内臓は無重力状態で浮いているものではなく、正しい姿勢に基づく骨格や筋肉に支えられているものなので、姿勢の崩れは各内臓にも影響を及ぼします。


また、最近「腸」が注目されていますが、これは進化論的に見た場合、脳を持たない生物でも腸があり、腸からの役割分化によって後から発生したのが脳ということのため、腸は脳以上に生物に不可欠と考えられるからです。そのため、腸は第二の脳、第二の心臓とも言われたりします。(発生論的には腸が第二の脳というより、脳が第二の腸というべきなのでしょうが)

胃腸系の働きが悪ければ肩こり同様に心身に悪影響が出ることは経験則的に間違いありません。ということは、「腰の姿勢が悪い→腸が圧迫される→腸の働きが悪くなる」わけですから、腰の姿勢がきちんとしていれば腸の働きも良くなり、首と同じように心身の健康に繋がるわけです。

というわけで、「頭のてっぺんを上に向ける」ことの「ケガ予防」と「健康促進」効果について、やや駆け足気味にですが説明をしてきました。これで残りは「スタイル改善」のみとなったのですが、長くなった&疲れたので今日はここまでにして、続きは次回に。

それでは、また♪